長野県のニュース

保育所の事故 安心な環境を最優先に

 内閣府が保育施設で起きた事故の分析結果を公表した。

 2015〜17年の3年間で死亡事故は35件に上った。うつぶせ寝など睡眠中が7割超を占めている。発生施設の6割は認可外だった。

 昨年1年間だけで、骨折ややけどをはじめ1242件の事故が報告されている。認可、認可外を問わず、保育士らの負担が過重で、子どもたちへの目配りが行き届いていない現状が浮かぶ。

 乳児をうつぶせに寝かせて上から布団をかぶせた。目を離した隙に風呂やプールで溺れた―。各地で起きた死亡事故の内容だ。認可外施設で、保育士が誰もいない時間帯に生後6カ月の女児が亡くなる事例もあった。

 内閣府の有識者会議は、7月をめどに再発防止策をまとめる。国は2年前にも、事故対策や発生時の対応を定めた指針を作り、地方自治体に通知した。根本の保育士不足に手を打たなければ、安全な保育は望みがたい。

 待機児童数は、17年4月時点で2万6千人余となり、3年続けて増えた。「保育士1人に子ども6人」という国の基準に対し、発育や災害時を考慮し、子ども5人あるいは4人と、より手厚く配置している自治体が少なくない。

 国は待機児童解消のため、こうした自治体に国の基準に準じるよう迫っている。

 「子どもが泣いていても上の空の保育士がいる」「職員同士の関係が悪くなった」。“詰め込み保育”を強いられる現場から悲鳴のような声が聞かれる。人手不足から入所制限や閉園せざるを得ない施設も出ているほどだ。

 安倍政権は、20年度末までに新たに32万人分の保育の受け皿を整備し、幼児教育・保育の無償化を来年10月に全面実施する構えでいる。当の親たちは高所得世帯まで無償にするよりも、財源を施設拡充や保育士の処遇改善に使うよう訴えている。

 保育士の月収は、全産業の平均より8万円も低い。20年度末までに、さらに7万7千人の保育士が必要になる。資格を持つ人に復帰してもらうには、踏み込んだ改善策が欠かせない。

 無償化を消費税再増税時に合わせるのは、消費の落ち込みを避けるためという。経済政策と一緒くたにされてはたまらない。

 受け皿を増やすにせよ、預けられればいいわけではない。不慮の事故を防ぐためにも、安心安全を最優先に、ゆとりある保育環境の確保に努めてほしい。

(5月30日)

最近の社説