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参院選改革 自民案は身勝手すぎる

 これで国民の理解を得られると考えているのだろうか。

 参院選の「1票の格差」是正に向け、自民党が公選法改正案を了承した。合区を維持した上で定数を6増やす。党に都合のよい小手先の見直しだ。このまま通すわけにはいかない。

 案によると、議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区の定数を2増やし、1票の格差を3倍未満に抑える。

 比例代表は4増やし、あらかじめ定めた順位に従って当選者が決まる「拘束名簿式」の特定枠を導入する。現行は得票数の多い順に決まる仕組みだ。

 5月末に党の参院議員総会で提案し、参院幹部に対応を一任した経緯がある。今月1日、参院改革協議会で与野党各会派に提示して議論を呼び掛けた。唐突な提案に野党の反応は冷ややかだ。

 人口の少ない隣接県を一つの選挙区にする合区は2016年の参院選の際に「鳥取・島根」と「徳島・高知」で導入された。投票率が過去最低を更新するなど、問題が多い。速やかに解消すべきなのに棚上げした。

 その上、比例代表の特定枠である。合区対象県で選挙区に擁立できなかった候補者を名簿に載せて救済しようという狙いが見え見えだ。党利党略が過ぎる。

 自民は今国会への提出、成立を目指している。15年成立の改正公選法は付則で、19年の参院選に向け「制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」とした。今回の案では約束を果たすことにならない。無理押しは許されない。

 これまで自民は改憲による合区の解消を主張してきた。同調する党はなく、来年夏の参院選に間に合わないとして定数増で対応する方針に転じた。安倍晋三首相の宿願である改憲を実現する道具として選挙制度改革を使う姿勢に、もともと問題がある。

 来年の参院選へ、改革は待ったなしだ。ご都合主義の改正案は撤回し、各党と抜本見直しの協議を急がなくてはならない。

 各党からこれまでにさまざまな意見が出ている。全国11ブロックの大選挙区制、全国9ブロックの比例代表制、選挙区と比例代表の定数変更―といったものだ。どうすれば、1票の格差を是正しつつ地方の声を国政に反映させられるか。突っ込んだ議論を求める。

 選挙制度は参院の位置付けにも関わる問題だ。衆参両院の役割分担をはじめ、国会の在り方を全般的に見直すことが欠かせない。

(6月8日)

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