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大卒者採用 憲法や行政法など問う「専門試験」県内8市廃止

茅野市の職員採用案内や受験願書。来春採用者の試験から専門試験を廃止した=8日、茅野市役所茅野市の職員採用案内や受験願書。来春採用者の試験から専門試験を廃止した=8日、茅野市役所
 県内19市のうち8市が、大学新卒者を対象とした事務一般職(行政職)の志願者に課していた「専門試験」を本年度までに廃止したことが8日、各市への取材で分かった。憲法や行政法、経済学などの知識を問う試験で、教養試験や面接と合わせて地方公務員試験で広く実施していた。だが、自治体も学生の売り手市場の影響を受けており、試験の負担を軽減して志願者を確保したり、法律や経済を学ばない理系学生に行政職への門戸を広げたりする狙いがあるようだ。

 19市への取材によると、最初に専門試験を廃止したのは伊那市で2012年度(13年度春採用者)。本年度までに岡谷、須坂、諏訪、佐久、飯田、茅野、塩尻の7市も廃止した。駒ケ根市は19年度以降の廃止の是非を検討する。

 企業側の採用意欲が活発で、学生側が有利とされる売り手市場が続く。来春の採用者を決める本年度の試験から廃止した茅野市では、17年度の受験者は13年度比42%減の22人に落ち込んだ。総務課は「受験者が少ないと良い人材を選べない」と説明する。

 13年度に廃止した須坂市は「専門試験で問うのは法律や経済の知識。理系の学生は不利になる」。行政職を目指す理系学生も志望しやすくする目的だ。岡谷市は「間口を広げて少しでも良い人材を取りたい」とした。

 ある市の採用担当者は、優秀な人材が民間企業から早々と内定を得る現状が専門試験廃止を後押ししていると指摘。「専門試験は特別な対策が必要になるので、進路の選択肢に挙がらない」との懸念が理由とした。

 一方、専門試験を続ける自治体も多い。長野市は「見直しの予定はない」とし、松本市は「公務員として憲法など最低限の知識は必要」と説明。飯山市は「きちんと受験の準備ができる人を採用したい」とする。

 伊那、飯田両市の中間に位置する駒ケ根市は「良い人材は取り合い。19年度は他市の状況を見て、専門試験をなくすか検討したい」とし、近隣市の影響があることをうかがわせた。

 県は行政職で専門試験を課す募集枠の方が多数だが、15年度から専門試験を課さない枠も設けている。

 公務員試験対策の予備校を全国展開している「東京アカデミー」(本部・大阪市)によると、受講生が17年度に受験した1104市区町村のうち、8割の884市区町村が専門試験を廃止していた。廃止は全国的な傾向で、同社の伊藤憲司執行部長は「売り手市場の影響もあって徐々に増えている」としている。

(6月9日)

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