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ウナギの危機が叫ばれるご時世にもったいない話である。昨年捨てられたかば焼きは2・7トン、数にして1万3千匹以上に上るという。環境保護団体が主なスーパーにアンケートした結果である。非開示もあり実際はもっと多いようだ

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「土用の丑(うし)の日」に向け中国、台湾などからも養殖物がどっと輸入され、さばききれず賞味期限切れに。節分の恵方巻きにも通じる“記念日商法”の負の側面だ。とりわけ減少する一方のニホンウナギが無駄にされたとあっては心中穏やかでいられない

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この冬は養殖池に入れる稚魚がさっぱり捕れず、空前の高値を呼んで養鰻(ようまん)業者を慌てさせた。稚魚は約2千キロ離れたマリアナ海域から日本沿岸までやって来る。生存率は黒潮にうまく乗れるかが左右する。長い間謎だった産卵場を突き止めた塚本勝巳日大教授の著書に教えられた

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塚本さんが手掛かりにしたのはウナギの耳石だ。年輪のように1日ごとに輪が増える。この日数と海流の速さから逆算して古里をたどった。9年前、海山の近くで卵の採集に成功。日本から帰った親ウナギが新月の夜に合わせて産卵する生態を解明した

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大量消費がニホンウナギの親戚のヨーロッパウナギやアメリカウナギの密漁を招いていると海外の評判も悪い。中国などと決めた養殖規制も緩すぎるとされる。不正品を黙認しない販売者の矜持(きょうじ)も求められよう。いよいよとなれば平賀源内の考案という“土用の丑商法”も考え直すべきか。

(6月9日)

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