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小児白血病支援歩み再び チェルノブイリ連帯基金

イブンアルアシール病院で診療を受ける白血病の子ども。リカーさん(右奥から2人目)が治療に当たった=2007年、イラク・モスルイブンアルアシール病院で診療を受ける白血病の子ども。リカーさん(右奥から2人目)が治療に当たった=2007年、イラク・モスル
 認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF、松本市)は、イラクの白血病を患った子どもたちの医療支援を本格的に再開する。2004年から白血病患者の支援に取り組んできたが、過激派組織「イスラム国」(IS)の勢力拡大で、迫害から逃れた避難民の支援に軸足を移していた。イラク政府がISの掃討完了を宣言したのを受け、18〜25日に血液免疫学が専門のイラク人医師2人を日本に招待する。2人は松本市の医療施設などを視察し、20日に記者会見を開いてイラクの医療実態などを報告する。

 イラクでは1991年の湾岸戦争、03年のイラク戦争で米英軍が劣化ウラン弾を使用し、その影響が疑われる白血病患者が増加。JCFは医療機器の提供などに取り組んできた。ISの台頭により、避難民が数多くいるイラク北部のクルド人自治区内で基礎医療を提供する医療施設整備に注力していた。

 JCFによると、ISの掃討によってイラクの治安は回復傾向といい、クルド人自治区での医療施設整備も本年度で一区切りが付く見通し。JCF事務局長の神谷さだ子さん(65)は「原点に立ち戻って、小児白血病支援に取り組みたい」とする。

 JCFの招きで来日するのは、クルド人自治区内にある血液銀行の所長を務めるフナール・タウフィークさん(41)と、ISが支配していたモスルにあるイブンアルアシール病院院長のナシュワン・ファディルさん(51)。松本市では日本赤十字社の献血関連施設や信州大の医療施設を訪問し、献血・輸血のシステムや小児白血病治療の先端医療を視察する。

 JCFは今後、イラク国内の医療従事者の育成や、白血病治療が十分にできる医療施設の整備支援を目指すという。現地との調整は宗教的迫害を逃れて来日したイラク人女性医師でJCFスタッフのリカー・アルカザイルさん(48)らが担う。

 神谷さんは「核や放射性物質によって被害を受けた人を支援することで、こうした兵器などを使ってはいけないというメッセージを発信することにもつなげたい」と話している。

 JCFは94年、第1回信毎賞を受賞している。

(6月12日)

長野県のニュース(6月12日)