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柏崎刈羽原発 新知事は約束果たせるか

 新潟県知事選で自民、公明が支持する花角英世氏が野党推薦の候補を破り、初当選した。

 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発について、選挙戦で「県民の納得がない限り動かすことはできない」と主張してきた。当選後も安全性の検証に今後2〜3年を要するとの認識を示している。

 共同通信の出口調査では、再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」とした人は計6割に上る。花角氏もそうした層から一定の支持を得た。「徹底した検証」は県民との約束である。

 安倍政権は原発再稼働を進める方針を変えていない。花角氏は政権の意向に左右されず、いまの姿勢を貫かねばならない。

 知事選は、前知事の米山隆一氏が女性問題で辞職したことに伴い実施された。花角氏と、野党共闘候補の池田千賀子氏による事実上の一騎打ちの構図だった。

 柏崎刈羽原発は6、7号機が昨年末、原子力規制委員会の審査に合格した。再稼働には地元自治体の同意が必要だ。東電の安全意識に疑念が残る中、前知事は、県独自の検証を行ってきた。

 花角、池田両氏とも、前知事が進めた検証の継続を掲げ、再稼働に慎重姿勢を示した。原発問題では違いが明確にならなかった。

 花角氏は知事選で中央とのパイプを強調。政党色は薄め、与党の国会議員らが水面下で企業・団体を回る組織戦を展開した。再稼働への慎重姿勢には、争点化を回避しているとの見方も出た。

 前知事は、福島第1原発事故の原因、健康などへの影響、避難の3点で検証を進めた。地元の目線で重ねる検証の意義は大きい。

 花角氏は、検証を終えて再稼働の是非を判断する際には、「県民に納得をいただけるか意思を確認したい」と説明している。出直し知事選も検討するという。

 経済産業省がまとめた2030年に向けたエネルギー基本計画の案は、依然として電力の2割以上を原発に頼る内容だ。再稼働や新増設が必要な計算になる。

 福島事故後、原発の安全神話は崩壊し、コスト面の優位性も失った。再生可能エネルギーへのシフトが世界的潮流となっている。

 世耕経済産業相は花角氏の当選を受け、「まずは新知事の考えをよくうかがいたい」と述べている。与党系の勝利とはいえ、政府の政策が信任されたとはいえない。花角氏は、検証にとどまらずエネルギー政策についての考え方を広く発信してほしい。

(6月12日)

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