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平昌(ピョンチャン)五輪から始まった政治ショーは中朝、南北の首脳会談を経てきのうヤマ場の米朝会談が実現した。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏が開演ブザーを押した後の速い舞台展開は、これを見せ場にしたいと望むトップがそろったこともあったろう

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激しく非難し合った2人が親しげに共同声明に署名した。「ロケットマン」とやゆした金氏を一転、「才能ある素晴らしい人」とたたえるトランプ氏。思わせぶりに報道陣に話す姿はかつて務めた人気番組の進行役さながら演出効果を楽しんでいるよう

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トランプ氏は北朝鮮が求めた体制保証を約束し、韓国との合同演習中止にも言及した。その代わり朝鮮半島をどう完全に非核化していくのか、合意内容は肝心な点で具体性を欠いた。詰める時間がなかったというが、結果として北朝鮮のしたたかさの方が一枚上手のように見えた

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それでも金氏はトランプ氏のお眼鏡にかなったらしい。取引相手として信頼できると確信できたから今後の協議はうまくいく―と記者会見で述べている。型破りな交渉だけに、ここは不動産取引で培ったと自負するトランプ氏の勘を信じるしかないのか

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安倍晋三首相の要請を受け拉致問題も提起したという。金氏がどんな反応をしたかは、まだはっきりしない。次に設けなければならない舞台は日朝会談だ。戦後補償問題も含めて日本の主体性が問われる場面である。「歴史的」という修飾語の政治ショーにとらわれず着実に幕を開けたい。

(6月13日)

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