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ライチョウ 保護の取り組み強めたい

 絶滅が心配されているニホンライチョウについて、県が生息する5カ所の状況をまとめて保護計画の評価、検証を行った。生息数の目安となる縄張りの数が4カ所で減っており、今後とも効果的な取り組みを続ける必要がある、との結論だ。

 ライチョウ保護は希少動植物を絶滅から救えるかどうかの試金石でもある。国が進める事業と連携して手だてを尽くしたい。

 まとめによると北アルプス常念岳では、かつては82あった縄張りが2015年には40に半減していた。同乗鞍岳、御嶽山、南アルプス上河内岳でもここ10年近くの間に減少。減っていなかったのは北ア白馬岳だけだった。

 県は08年度から生息環境調査、高山の植生復元、ニホンジカ駆除などの対策を進めている。

 県の後を追うように、国は14年度から保護に本格的に乗り出した。▽低地での人工飼育(大町市など)▽ひなのケージ保護(南ア北岳)▽天敵のカラス駆除(乗鞍岳)―などだ。長野・新潟県境の火打山では、えさとなる高山植物を守るためにイネ科の植物を試験的に除去している。

 このうち北岳では昨年、ケージ保護と並行してひなを捕食するテンを捕獲した。前年には15羽放鳥して3羽しか残らなかったのが、昨年は16羽のうち15羽が残り、効果を確認できた。指導している信州大名誉教授の中村浩志さんは「先の見通しがようやく開けてきた」と振り返っている。

 野生動物はいったん絶滅に向かい始めると食い止めるのはなかなか難しい。佐渡のトキは保護に取り組み始めた時は数が減りすぎて絶滅を防げなかった。いま進めている増殖、放鳥は中国から導入した個体を元にしている。

 ライチョウは長野県とその周辺に2千羽弱が生息しているとみられている。いまなら間に合う。取り組みを強める時だ。

 このところ高山帯にキツネ、ニホンジカなど、本来は低地に生息する動物が進出している。常念岳付近ではニホンザルがひなを捕食している様子が目撃されている。対策が急務だ。

 県が昨年、情報提供や啓発活動をするボランティア「ライチョウサポーターズ」を募集したところ約250人が講習を受けて登録された。関心の高まりは心強い。

 ニホンライチョウは人間を恐れない。昔から「神の鳥」として大切にされてきたためではないかと考えられている。文化遺産としても貴重な鳥である。

(6月14日)

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