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熊の大量出没対策徹底 里地での目撃5月最多

ランドセルに熊よけの鈴を付けて下校する飯山市秋津小の児童たちランドセルに熊よけの鈴を付けて下校する飯山市秋津小の児童たち
 県内の里地でのツキノワグマの目撃が5月中、91件に上り、記録がある2005年以降で最多だったことが22日、県のまとめで分かった。今年は木の実の豊凶などに伴い、おおむね4年に1度繰り返すとされる「大量出没」の年にも当たる。県は、熊の里地への移動経路になっているとみられる河川周辺の林「河畔林」の除去に向けて関係機関と連絡を取り合うなど、事故防止に向けた対策に乗りだした。

 県全体の目撃件数は近年、06年度に3362件、10年度に1591件、14年度に1575件と4年ごとに大量出没を繰り返している=グラフ。県によると、本年度の目撃件数は4月が22件で前年同月と比べ11件増、5月は91件に上り、前年同月(20件)の5倍近くに増えた。

 県は、春の気温上昇が例年に比べて早く、熊の活動が早まったとの見方。ただ、熊への住民の関心が高く、同じ熊の目撃が複数寄せられた可能性もあり、「現時点で、今年大量出没するかは分からない」(県鳥獣対策・ジビエ振興室)。大量出没の年は8月以降に目撃件数が急増する傾向があるといい、「その前に、対策だけは取る必要がある」とする。

 熊の目撃情報が相次ぐ飯山市では、市教委が今月、出没情報があった校区の小中学校4校に、希望する数だけ熊よけの鈴を貸し出した。市によると、4月から今月22日夕までの目撃情報や足跡などの「出没情報」は41件に上り、既に17年度1年間の45件に迫る勢いだ。

 同市秋津小学校では、学校が貸し出したり各家庭で用意したりした鈴を、全校児童128人がランドセルに付けて登下校。蟹沢友司校長は「山に近い地域から通う児童や早朝に家を出る子もいる」とし、できるだけ集団で登下校するよう呼び掛けている。

 県は本年度、熊の里地への移動経路になっているとみられる河畔林の除去に注力する方針。過去の出没状況や専門家の意見を参考に約60カ所を初めてリスト化し、河川を管理する市町村や県建設事務所に情報提供した。7月には学校教職員ら対象の研修会で、熊の専門家が初めて講義する予定だ。

 県環境保全研究所(長野市)の黒江美紗子技師は「大量出没の年ほど、日頃の地道な対策が重要になる」と指摘。農地周辺への電気柵設置や隠れ場所となるやぶの刈り取りなど、熊を里地に「寄せ付けない」ための基本的対策の徹底を呼び掛けている。

(6月23日)

長野県のニュース(6月23日)