長野県のニュース

斜面

タイは「微笑(ほほえ)みの国」といわれる。観光戦略のうたい文句として考え出されたようだが、実際に観光などで現地を訪れた外国人の多くは人々の柔らかな笑顔に魅了される。どんな時も微笑みを浮かべられるよう親が子にしつけるという

   ◆

「イムノイ!(微笑みなさい!)」「イムスワイノイ!(きれいに微笑みなさい!)」と日常から言い聞かせる。子どもが応えると「よくできた」と褒める。タイに留学し「海外生活の達人たち」などの著書がある齋藤志緒理さんがコラムに書いている

   ◆

タイ北部チェンライの山中にある洞窟の奥深く、真っ暗闇の世界でも微笑みを忘れなかったのだろう。行方不明から10日目に無事発見されたサッカーチームの少年ら13人だ。ライトに照らされた少年たちは笑顔を浮かべ、ワイ(手を合わせるあいさつ)をし「元気だよ」と答えた

   ◆

大雨によって洞窟内には大量の水がたまっている。懸命の排水作業にも水位は思うように下がっていない。このままだと少年らを脱出させるには潜水させるほかない。食べ物がなく岩から垂れる水をすすっていた。救出は体力が回復してからの難作業だ

   ◆

タイ人は13種類の微笑みを使い分けるとされる。知らない人にあいさつする時、勝ち目のない闘いに直面した時、涙が出るほど幸せな時…。洞窟内の少年たちは「マイペンライ(気にするな大丈夫だ)」と励まし合ってきたことだろう。はじけるような笑顔で親の胸に飛び込む姿が見たい。

(7月5日)

最近の斜面