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エネルギー計画 針路を示さない無責任

 エネルギー政策の中長期的な枠組みとなるエネルギー基本計画を政府が閣議決定した。

 4年ぶりの改定である。福島第1原発事故を踏まえた原発依存度の引き下げや再生可能エネルギーの利用拡大、地球温暖化対策など、重要課題への踏み込みがいずれも中途半端で、惰性に任せた内容になっている。方向性が明示されておらず、問題が多い。

 原発について、依存度を可能な限り低減させるとする一方、安定供給に寄与する「ベースロード電源」の位置付けは変えなかった。2030年度の発電割合を20〜22%とする目標も据え置いた。

 16年度の割合は1・7%だった。目標を実現するなら、30基程度の稼働が必要になる。現在ある原発の老朽化を考慮すると、再稼働に加えて新増設が欠かせない計算だ。それなのに、新増設は計画に盛り込まなかった。

 脱原発を求める世論が強いことを意識した政府が論議を避け、新増設が必要だという本音を封印したとの見方が有力だ。無責任な対応といわれても仕方ない。

 太陽光や風力などの再生エネについては、発電コストが世界的に急速に下がっており、火力発電などと比べた割高さが解消されつつあると分析。「主力電力化」すると初めて明記した。

 ならば、発電割合に高い目標を設定するべきではないか。22〜24%という従来目標を据え置いている。本気度が疑われる。

 日本に技術的な強みがある石炭火力は、高効率化を進め、輸出も推進するとした。だが石炭は温室効果ガスの排出量が多く、各国で削減が進む。パリ協定の目標達成に向け、英国やカナダは廃止を打ち出した。石炭への依存は国際的にも批判の的となっている。

 原発の使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムについては、「削減に取り組む」と初めて書き込んだ。表だった議論のないまま、計画決定の直前に盛り込んでいる。核兵器に転用できる核物質である。大量保有を懸念する米国への配慮がうかがえる。

 実効性のある削減策は明記されていない。削減を掲げる一方で核燃料サイクルによる再処理は従来の方針に沿って推進するとしており、本質的な議論を欠く。

 欧州などは将来性のある再生エネに特に力を入れている。めりはりのない計画で日本が出遅れを挽回することはできない。エネルギー政策は経済や暮らし、社会のあり方に広く関わる。議論の仕切り直しが必要だ。

(7月5日)

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