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松本サリン 無念今も 遺族「やっと執行」 「真実に迫れない」声も

 化学兵器を使った国内初の無差別テロとなった松本サリン事件から24年余。オウム真理教の松本智津夫死刑囚(63)ら同事件に関与した教団元幹部ら5人の死刑が執行された6日、無念を抱え続けた被害者遺族ら事件関係者は「やっと執行された」と率直な思いを語った。ただ、事件の真相究明は十分でないとし、死刑執行に複雑な心境を語る人も。松本死刑囚に絶対的帰依を掲げる「アレフ」などの後継団体の動きへの懸念も漂った。

 会社員だった次男豊さん=当時(23)=を同事件で亡くした小林房枝さん(76)=静岡県掛川市=は6日朝、松本サリン事件の別の被害者遺族から自宅に電話があり「早くテレビをつけて」と言われ、死刑執行を知った。豊さんの仏壇に向かい、「松本死刑囚に刑が執行されたよ」と報告した。

 「松本死刑囚への刑の執行は最後に行われると思っていた。最初に執行されたとのことで驚いている。いつ刑が執行されるのかという思いをずっと抱いてきたのでほっとした」とする一方、「(教団の)後継団体の信者によって松本死刑囚が神格化されなければいい」と話した。

 信州大経済学部2年だった長男裕太さん=当時(19)=を亡くした阿部和義さん(75)=東京=は「刑の執行は遅すぎた。やっと執行されたかという感じ。淡々とした気持ち」。阿部さんは他の被害者遺族とともに2016年5月、後継団体への立ち入り検査の強化を公安調査庁に要望した。「後継団体の信者や会員の減少につながるよう、これからもちゃんとやってほしい」と求めた。

 事件の首謀者の松本死刑囚は公判で事件についてほとんど語ることはなかった。事件の第一通報者で、妻澄子さん=当時(60)=を2008年8月に亡くした河野義行さん(68)は、「これで、あの事件の真実に迫ることができなくなって、本当に残念です」と話した。

 事件は、判決が翌月に迫っていた教団松本支部道場(松本市)の明け渡し訴訟の妨害とサリンの効果実験が目的だったとされる。訴訟で原告代理人を務めた山内道生弁護士(71)は「事件に当初から関わってきた身とすると、いよいよ執行されたかという思い」と話した。

 山内さんは死刑制度に批判的な立場で、「今回の執行も複雑ではある」としつつ、「法制度上、オウム関連事件に限れば(松本智津夫死刑囚らは)死刑相当で執行はやむを得ない」。一方で、「真相解明は不十分であり、同様の事件の再発防止対策も不十分だ」とし、事件の検証などを続ける必要があるとした。

(7月6日)

長野県のニュース(7月6日)