長野県のニュース

教団、県内で凶行重ね 信者拡大でトラブル

オウム真理教が松本市内に建設した松本支部道場=1995年7月撮影オウム真理教が松本市内に建設した松本支部道場=1995年7月撮影
 オウム真理教による一連の凶行は県内にも大きな衝撃を与えてきた。

 松本サリン事件のほか、89年の坂本堤弁護士一家殺害事件では、坂本弁護士の長男龍彦ちゃん=当時(1)=の遺体が95年、大町市日向山で発見された。県内出身の在家信者の男性=当時(25)=が88年に静岡県内の教団施設で修行中に死亡する事件もあった。

 1990年代、教団は県内でも信者数を拡大。信州大は学生を勧誘する拠点の一つだった。大学祭に松本智津夫死刑囚が講演に訪れ、それを聞いて入信した学生もいた。92年、松本市内に松本支部道場が建設された。

 地元住民は、熊本県波野村(当時)進出騒動などで知られる教団と知って、対策委員会を結成。民事訴訟を起こすなどし反対運動を展開した。

 訴訟の判決が迫る中、松本死刑囚が訴訟妨害のため、生成に成功していたサリンを同市でまくことを教団幹部に指示したとされる。94年6月27日夜、松本市北深志にある地裁松本支部裁判官官舎を狙い、近くの駐車場でコンテナ車を改造した噴霧車でサリンを拡散させた。周辺に暮らしていた7人が翌朝未明までに亡くなり、重軽症者は約600人に上った。

 長野県警は事件翌日の28日、事件の第一通報者の河野義行さん宅を被疑者不詳の殺人容疑で家宅捜索し、写真現像用に持っていた薬品などを押収。河野さんが「容疑者扱い」され、報道の在り方も問われることになった。

 一方、県警はサリン製造に必要な薬品ルートを捜査。オウムと事件とのつながりを徐々につかんでいたが、95年3月20日朝、都内で地下鉄サリン事件が発生。上田市出身の和田栄二さん=当時(29)=らが犠牲になった。警視庁などは3月22日、教団の強制捜査に着手し、松本サリン事件もオウムの犯行と判明した。

 サリンを吸って入院していた河野さんの妻澄子さんは意識が戻らないまま2008年8月に60歳で亡くなり、松本サリン事件の8人目の犠牲者となった。

 一方、88年、県内出身の男性が修行中に暴行されて死亡したとされる事件は、松本死刑囚が「公になれば教団の組織拡大などの妨げになる」とし隠蔽(いんぺい)を図ったとされる。男性の両親は、松本死刑囚らに損害賠償を求め提訴した。

 県内で暮らす男性の母親は6日、松本死刑囚への死刑執行に「いまさら遅すぎる」と悔しさをにじませた。「家族も本当に大変な思いをしてきた。(夫と)2人で息子の後を追おうと考えたこともある」とも。夫は昨年亡くなり、「生きていてもこのニュースは見たくなかっただろう」と、複雑な心情を漏らした。

 県内ではかつて、木曽郡木曽福島町(現木曽町)や小県郡東部町(現東御市)、南佐久郡佐久町(現佐久穂町)、同郡南相木村などにも信者が出入りする建物があり、各地でトラブルなどがあった。

 小諸市加増には現在、オウム真理教元幹部の上祐史浩氏が設立した「ひかりの輪」の長野教室がある。6日は公安調査庁の検査官2人が40分ほど立ち入り検査をした。

 同庁によると、長野教室は98年ごろに開設。女性が1人で暮らし、信者数人が利用している。同庁は定期的に立ち入り検査をしており、5月の検査では松本死刑囚との関係性を示す資料は確認されなかったという。

 小諸市危機管理課は「警察や公安と情報共有しながら、引き続き注視したい」とコメントした。

(7月7日)

長野県のニュース(7月7日)