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「あさきたのうた」は広島市安佐北区のふるさと応援歌だ。住民のビオラ奏者沖田孝司さんが作詞作曲した。もともと区のイメージソング作りを頼まれ進めていた2014年8月に豪雨災害が発生。同区などの市民77人が犠牲になった

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「歌詞に災害のことも盛り込んで」と住民が要望、沖田さんは歌詞に書き加えた。〓(歌記号)いとなむ私たち/自然とともにあり/そこに暮らす私たち/友とともにあり…。ふるさとを愛し、災害を乗り越えようと力を合わせる住民の顔が穏やかな旋律に浮かぶ

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土砂が流入し耕作放棄されていた棚田に今年5月、若者グループが酒米を田植えした。伝統行事「大文字まつり」は4年ぶりに復活した。3人が犠牲になった団地の自治会は雨量計を置き、独自に避難を呼び掛ける態勢を整えた。中国新聞の報道に見た安佐北区の復興の足取りだ

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自然は時として無慈悲である。安佐北区を再び濁流と土砂が襲った。民家が流され安否不明の住民がいる。梅雨前線がもたらした記録的豪雨の被害は西日本を中心に広がっている。またも多くの命を奪った。衰退する地方に追い打ちをかける災禍である

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沖田さんは同じ旋律で「みなみあそのうた」を作り熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村に贈った。この3月に村の代表を招きチャリティー演奏会を開いた。つらく悲しい被災の身になれるゆえの行動だろうか。今度は安佐北区、さらには西日本各地の被災者に全国から手を差し伸べる番だ。

(7月8日)

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