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地制調の議論 市町村の自主性尊重を

 人口減少や高齢化が深刻になる2040年ごろの自治体行政をどう維持するのか―。

 第32次地方制度調査会(地制調)の初会合が開かれ、近未来を見据えた議論が始まった。

 40年ごろには団塊ジュニア世代が65歳以上となる一方、20代前半の人数は65歳以上の半分程度にとどまる。地方の9割以上の市町村で人口減少が見込まれ、行政サービスの維持も難しくなる。

 医療や福祉、教育などは地方での生活に欠かせない。産業振興も行政が担う側面が大きい。人口が減り高齢化が進んでも提供できるように、必要な施策を早急に考えなければならない。

 議員のなり手不足がすでに表面化している地方議会の新たな仕組みづくりも欠かせない。

 地制調が2年以内に答申する具体策を受け、政府は必要な法整備を図る。地制調の役割は重大だ。地方の実情を踏まえた丁寧な議論を求めたい。

 気になるのは、地制調が議論のたたき台にするという二つの報告書だ。それぞれ総務省の有識者研究会がまとめている。

 自治体行政の在り方を巡る報告書は、複数の市町村が連携する「圏域」を新たな行政主体として法制化し、行政サービスを担う態勢を整えるよう提言した。

 観光振興や救急医療体制の構築など、一つの自治体では限界がある施策はある。広域での連携は必要だろう。それでも法制化して画一的な圏域を地方に押しつけるやり方は拙速だ。

 地方によって最適な連携の形はさまざまだ。県内を含め、独自に自治体間の連携の在り方を考え、高齢化が進んでも住民生活が充実できる生活圏づくりを模索している自治体は少なくない。

 こうした創意工夫を重視し、「地域のことは地域が決める」という姿勢が大切だ。

 同じことは、地方議会の在り方にもいえる。

 報告書は、兼業制限などを緩和して議員を増やす「多数参画型」と、少数の専業的議員で構成する「集中専門型」の2案を示した。問題は、改革の方向性を2案から選ぶよう迫っていることだ。

 議会を取り巻く環境は地域によって異なる。単純な2案に類型化できるものではない。

 まず必要なのは、各自治体が地域の実情を直視し、どういった具体策が最適なのか、住民とともに考えることだ。地制調の役割は、地方の意思を実現できる政策を見いだすことである。

(7月10日)

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