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西日本豪雨 避難につなげるには

 活発化した梅雨前線による豪雨災害は西日本を中心に拡大し、死者が100人を超える甚大な被害を出す事態となった。

 記録的な雨量によって土砂崩れや浸水の被害がこれまでにない広い範囲で多発した。なお大勢の安否不明者がいる。

 気象庁は今回、早い段階から大雨への注意を呼びかけていた。「数十年に1度」という最大級の警戒を促す大雨特別警報は11府県に出している。

 それでもこれほどの被害が出たのはなぜか。情報は避難に結び付かなかったのか。捜索や被災者支援に全力を注ぐとともに、国や自治体には検証が求められる。

 前線が同じ場所に停滞を続け、湿った空気が大量に流れ込んだのが豪雨の原因だ。高気圧の配置や偏西風の蛇行が影響したという。前線の位置によっては、日本のどこで起きてもおかしくない。

 同庁が臨時の記者会見で8日にかけて記録的な大雨の恐れがあると発表したのは5日。特別警報は6日午後から順次出した。

 多くの犠牲者が出た広島県に特別警報が出たのは6日午後8時40分。それ以前に濁流に車が流されるなどの被害が出ていた。特別警報の時点では既に、避難するのも危険な状態だったとみられる。

 犠牲は、自宅にいて土砂崩れに巻き込まれたり、増水時に外出して車ごと流されたりしたケースが目立つ。早く避難することの大切さがうかがえる。

 危険に遭遇しても、都合の悪い情報を過小評価してしまう「正常性バイアス」が働くことが指摘されている。切迫感を具体的に伝えることが減災の鍵になる。

 危険性を把握する技術は進歩している。気象庁は昨年7月から、河川の氾濫の可能性を色分けして地図に表示する「危険度分布」の発表を始めた。詳細な降雨予報もスーパーコンピューターの運用で15時間先まで可能になった。

 こうした情報が住民にどう伝わっていたか。長野市では昨年夏、大雨で避難勧告が相次いだが避難した人はわずかで、情報伝達が課題として浮かんだ。同市には今回の大雨でも避難指示が出た。

 住民自身が身近な危険に目を向けていくことも重要だ。今回、広島では崩れるような音が響く裏山の異変に気付いて親族の家に身を寄せ、難を逃れたケースがあった。同じ集落の住宅でも、地形によって危険性には違いがある。少しでも安全度の高い一時的な避難先を近くに確保するなど、地域住民の目線で対策を進めたい。

(7月10日)

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