長野県のニュース

斜面

「瀬戸内式気候」について教わったのは中学生のころか。中国、四国の両山地に挟まれた瀬戸内は季節風が山を越えてくるので少雨で日照時間が長く温暖―と。だからミカン栽培の適地とも聞き、信州からはうらやましく思ったものだ

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当地の知人にも「魚も果物もうまく何より災害が少ない」とお国自慢を聞かされた覚えがある。その油断もあったのか。西日本豪雨は死者が100人を超え安否不明も多数に上る大惨事になってしまった。この地に多いため池の決壊も悲劇を招いている

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松山市沖に浮かぶ怒和(ぬわ)島もかんきつ類栽培が盛んだ。高齢者が多いが、農漁業の両方に精を出し「日本一働き者の島」といわれる。怒和小学校の児童は6人だけ。去年、幸せな気持ちになった記事へのコメントを募集する日本新聞協会の催しで、この給食の感想が大賞に選ばれた

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週1度、日よけを張った学校前の防波堤を食堂にする「海テラス給食」である。潮風と波の音に包まれて、島の食材を使った昼食を味わう楽しいひとときだ。素晴らしい原風景を持った子どもたちは心にも栄養を蓄えていくと思う―と感想を寄せている

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学校行事は島民が積極的に協力した。数少ない子どもの成長を地域ぐるみで見守った。2人の姉妹と母の命を奪った豪雨。久しぶりの新入生の妹はみんなのマスコットだったという。「宝のように思っていたのに…」。突然牙をむいた自然。これまでの知識が通用しない気候になったのか。

(7月10日)

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