長野県のニュース

参院選改革 「良識の府」であるなら

 自民党提出の公選法改正案を巡り、参院の政治倫理・選挙制度特別委員会で与野党の対立が続いている。

 参院選の「1票の格差」是正のため定数を6増やすというものだ。お手盛りの案を数の力で押し通すなら「良識の府」とは呼べない。

 2016年の参院選で導入した「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区選挙区は維持し、議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区の定数を2増、比例代表を4増する。自民は22日が会期末の今国会中に成立させたい考えだ。

 比例代表は、あらかじめ定めた順位に従って当選者を決める「拘束名簿式」の特定枠を一部に設ける。現行は得票の多い順に当選者が決まる。合区した県の現職で選挙区に擁立できない候補を特定枠に載せ、救済する狙いがある。あからさまな党利党略だ。

 委員会の質疑で自民は「抜本的な改革」だと主張した。うなずくことはできない。

 野党は「参院選の正当性に傷が付く」などと反対している。選挙制度改革は各党の幅広い合意に基づいて進めるのが本来の姿だ。法案提出前、自民出身の伊達忠一参院議長は各会派の折り合いが付かないまま協議を打ち切った。中立性を欠いている。

 野党は対案を提出している。国民民主党の案は埼玉選挙区を2増する一方、比例代表を2減して総定数を維持する。日本維新の会は大選挙区制を導入して総定数を24減らす。立憲民主党と希望の党は石川、福井両選挙区を合区とする2増2減の案を共同提出した。

 突っ込んだ議論がないまま自民は採決を急いでいる。公明党は現行総定数のまま全国11ブロックの大選挙区制に変える案を出したものの、他の案に先立って否決された。自民案に賛成しやすい環境をつくった形だ。

 15年成立の改正公選法は付則で19年の参院選に向けて「制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」としていた。自民案では約束を果たすことにならない。

 参院選まで時間が限られるとはいえ、ご都合主義の定数増で済ませるわけにはいかない。二院制の下で参院はどのような機能を担うのか。衆院との関係、役割分担を明確にしつつ、選挙制度の在り方を掘り下げる必要がある。

 1票の格差を是正するとともに地方の声を国政に反映させる方策が求められる。自民は法案を取り下げ、臨時国会へ各党と抜本的な議論を重ねるべきである。

(7月11日)

最近の社説