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松本城堀復元「掘削せず」 平面整備に転換

 松本市や市教委は10日、国宝松本城周辺で進める南・西外堀復元事業について、堀を復元する当初方針を見直す考えを明らかにした。掘削せずに堀の範囲を示す「平面整備」に切り替える。事業用地では土壌汚染が確認され、復元のため掘削する場合、土地所有者に対策費用を請求しなければならない可能性が出てきたことなどが理由。市教委は芝生化も視野に「平面整備の具体的な内容を文化庁と相談しながら検討する」とした。

 「松本城を中心としたまちづくり」や一帯の観光振興などを目的に、市は長年にわたり南・西外堀復元事業を構想。市教委によると、計1万平方メートル前後を想定する事業用地には民家などが建ち、2013年度に用地取得に着手。取得率は17年度末時点で約48%。

 17年度に事業用地の土壌汚染を調べたところ、23地点のうち8地点で、自然由来と推測される「鉛およびその化合物」が基準値を超えて検出された。土壌汚染の対策費用は概算4億円以上になるといい、土壌汚染対策法などに基づき土地所有者に費用請求することになれば負担が大きいと判断した。事業は24年度に完成する見通しだったが、今回の見直しによる遅れはない。

 菅谷昭市長は10日の市議会議員協議会で「堀復元という当初の目的を断念せざるを得ないことは誠にじくじたる思い。住み慣れた場所を離れることに理解、協力いただいた皆さまには重ねて心からおわび申し上げる」と陳謝。「南・西外堀の復元は将来の課題として取り組んでいくことを強く望む」と述べた。

 市側は堀の復元見直しによる松本城の世界遺産登録への影響はないと説明。松本城南の市道を広げる内環状北線整備事業にも影響は出ないという。議員からは「突然出てきた話で非常に衝撃的」といった意見が出たものの、賛成多数で見直し方針を了承した。

(7月11日)

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