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日産の不正 在り方を一から見直せ

 日産自動車で新たな不正行為が明らかになった。新車を出荷する前の検査で、排ガスや燃費の測定データを改ざんしていた。

 昨年も出荷前検査を国の規定に反し無資格の従業員にさせていたことが発覚している。改善を誓いながら同じ工程で不正を繰り返したことになる。

 消費者の信頼が揺らいでいる。意識改革が進んでいなかったと言わざるを得ない。企業体質を根底から見直す必要がある。

 同じようなデータ改ざんと無資格検査はSUBARU(スバル)でも発覚している。スバルでは社長が退任した。日産ではカルロス・ゴーン会長、西川広人社長とも会見にすら出席していない。経営陣の問題への認識も問われる。

 完成車の安全性や性能を最後に確認する工程だ。改ざんに加え、走行時間などが測定条件に満たず本来は無効なデータを有効とした不正も見つかった。保安基準やカタログには適合しており、リコールは行わないとしている。

 スバルでの不正を機に社内で抜き取り調査をしたという。国内6カ所の完成車工場のうち5カ所で発覚。調べた車の53・5%で不正が確認された。いいかげんな検査が全社的に常態化していた。

 無資格検査の発覚は昨年9月。11月に再発防止策をまとめた報告書を国土交通省に提出し、西川社長は「挽回の機会を与えてほしい」と訴えていた。その後も今年6月まで不正が続いていた。

 今回の不正について会見で説明した執行役員は「検査の知識、技能を持った監督者が配置されていなかった」と説明。人手不足を示唆した。期待したデータが得られない場合に、「再検査をすれば1日か1日半かかる」とも話している。監督者もいない現場で、検査員に納期へのプレッシャーがかかっていた状況がうかがえる。

 日産は小型車販売などで好調な業績を維持してきた。拡大路線の裏で生産現場へのしわ寄せを放置してきたのではないか。

 結果としてブランドイメージを大きく傷つけることになった。取り戻すのは容易ではない。

 自動車に限らず、日本の製造業は昨年以降、不祥事が相次いでいる。神戸製鋼所によるアルミニウム製品などのデータ改ざん問題は刑事事件に発展した。三菱マテリアルや東レのグループでもデータの改ざんが発覚している。

 経営方針と製造現場に溝はないか、安全や品質に対する意識は十分か、ものづくりの在り方を一から見直すときに来ている。

(7月12日)

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