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一極集中是正 施策を根本から見直せ

 全人口の3割が東京圏に居住―。もはや異常な数値といえる。

 総務省が発表した今年1月1日時点の人口動態調査である。国内の日本人は9年連続でマイナスとなり、前年から37万人減った。長野を含む41道府県で人口が減少している。

 一方で、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の東京圏は増え、28・3%に当たる3544万人が居住している。

 人口は50年後に8800万人まで減ると推計されている。過度な一極集中が続くと、地方の活力はますます失われる。

 政府の対策は心もとない。安倍晋三政権が「地方創生」を看板に掲げ約4年。実施した政策は効果を上げているとはいえない。

 国が総合戦略を立て、この内容に沿った地方版戦略を1年の間に自治体に作らせた。コンサルタント会社に作成を依頼した自治体もあったほどで、予算のばらまきと批判された。優遇税制や中小企業の支援策も打ち出した。それでも一極集中は止まらない。

 東京に移り住む若者の増加に歯止めをかけるため、東京23区内の大学の定員増を10年間禁止する新法も5月に成立している。

 大切なことを見失っていないか。まず必要なことは「地方の魅力」の向上だ。

 内閣府や民間の調査では、若者を中心に、都市部から地方への移住に関心を持つ層が増えている。

 移住で不安な要素は「雇用の場」が多いものの、「医療や福祉の充実度」や「生活の利便性、快適性」なども上位を占める。

 その一方で魅力を感じるものでは「自然」や「食べ物」、「生活コストの安さ」などが挙がる。

 政府はこれまで、雇用の場の確保に重点を置いた施策が目立つ。先月閣議決定した当面の対策「まち・ひと・しごと創生基本方針」も従来の政策の延長だ。

 6年間で地方の就業者や起業家を計30万人増やす数値目標を盛り込み、引っ越し費用や起業に必要な資金を手助けするなどの内容である。十分な成果を得られるのか疑問だ。政府はこれまでの施策を検証し、根本から見直すべきだ。

 全国では3年連続で日本人が増えた市区町村が187ある。必要なのは、自治体が住民や移住者、都市部の若者らと対話し、地域の魅力を再確認することだ。そして、それを向上させる手法を考え、効果的に訴えていきたい。政府は地方を後押しする姿勢が欠かせない。問われているのは地方の自主性と政府の発想の転換である。

(7月13日)

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