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米朝間交渉 非核化の糸を断たぬよう

 米朝首脳会談から1カ月が過ぎた。

 トランプ米大統領は北朝鮮の核の脅威の「大半は解決した」と成果を誇ったものの、この間、非核化に向けた具体的な動きは見られない。

 今月上旬、ポンペオ米国務長官が訪朝した際も、北朝鮮は「一方的に非核化だけを強盗のように要求した」と強く非難。両国の溝の深さを浮き彫りにした。

 米国内では既に、圧力再開を求める声が上がっている。会談でつかんだ交渉の糸が途切れることのないよう、関係国も外交努力を尽くしてほしい。

 米朝高官で早期に交渉を継続する―。会談の共同声明に盛られた約束事の一つだ。

 ポンペオ氏の訪朝は、その唯一の機会だったけれど、金正恩朝鮮労働党委員長との会談は実現しなかった。両国による核廃絶を目指す作業部会設置も見送られたもようで、北朝鮮は「確固不動だった非核化の意志が揺らぎかねない」とけん制している。

 交渉の障壁は会談前と変わらない。北朝鮮は、経済制裁解除や体制保証を得ながらの段階的非核化を主張する。米国は「見返り」は非核化の後だと譲らない。

 トランプ氏には、11月の中間選挙までに非核化の進展を得たい思惑がある。金氏にしても、朝鮮戦争の終戦宣言や制裁解除をはじめ、圧力に屈して核を手放すのではないという国民向けのアピール材料がほしいのだろう。

 韓国と中国は制裁解除後の経済協力を見据え、北朝鮮との協議に入っている。ロシアを含む近隣国の融和姿勢が、北朝鮮の強気の背景にあるとされる。

 ただ、米国内では、与党共和党からも米韓合同軍事演習の再開を求める声が出ている。北朝鮮が核開発を拡大している、関連施設を隠している、といった報道が相次ぐ。中間選挙までに成果が得られなければ、トランプ政権が再び「最大限の圧力」をかけるとの見方がもっぱらだ。

 半世紀に及ぶ北朝鮮の核開発の全容は定かでなく、米国が迫る短期決着は望みがたい。長期戦を覚悟し、まずは両国が合意できる行程表作りを急ぎたい。

 膠着(こうちゃく)状態が解けないなら、6カ国協議に交渉の場を移す手もある。非核化の手順と検証方法を練るには、国際原子力機関などの関与も欠かせない。

 北東アジアの緊張が高まる事態を避けるには、確実に履行される非核化の道筋を、関係国で取り決めておかなければならない。

(7月13日)

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