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東電、被災者に賠償の返還請求 事故時単身赴任で「対象外」

 福島県楢葉町に再建した自宅兼会社事務所で、東電から届いた書類を見つめる新妻宏明さん=9月  福島県楢葉町に再建した自宅兼会社事務所で、東電から届いた書類を見つめる新妻宏明さん=9月
 東京電力福島第1原発事故で避難した福島県楢葉町の男性に対し、東電が支払い済みの賠償金約5千万円の返還などを求めていることが4日、分かった。東電は男性が事故時、賠償対象外の神奈川県に単身赴任中だったことが判明したためと説明。男性は「住民票は楢葉町にあり、毎週末帰宅していた」と反論、訴訟も検討している。

 返還を求められているのは現在、福島県いわき市に避難中の不動産会社社長新妻宏明さん(58)で、東電から今年9月、本来は賠償対象ではないのに約5110万円を支払っていたことが判明したとの文書が届いた。

 東電側は、うち2980万円について実際に返還を求め、残り2130万円は、今後支払う賠償などを減額して相殺するとした。文書に理由は記載されず、問い合わせると「事故発生時に賠償対象区域外に生活の本拠地があった」とのメールが届いた。

 東京都内にある東電の子会社に勤めていた新妻さんは事故時、妻玉美さん(57)を楢葉町の自宅に残し、川崎市の社員寮で単身赴任中だった。しかし毎週末に自宅に戻り、親戚付き合いや町の行事に参加し、少年サッカーチームの指導員もしていた。

 このため生活の本拠地は楢葉町だったとして、賠償を請求した。書類で社員寮にいることも伝えており「東電は単身赴任中と把握した上で賠償したのではないか」と主張。賠償金は自宅の再建費用などに充当済みで、当初から対象外と言われれば、賃貸物件を借りるなど別の選択ができたと訴えている。玉美さんへの返還請求はないという。

 東電福島本社は取材に「個別の事情には答えられない。基本的に賠償は事故時に避難区域内に生活拠点があった人が対象で、後から異なる事実が発覚すれば返還を求めることもある」とした。

(11月4日19時01分)

科学・環境(11月4日)