国内外ニュース

福祉映画の先駆者、再評価の動き 柳沢寿男監督、障害者描く

 「そっちやない、こっちや 映画監督・柳沢寿男の世界」の表紙  「そっちやない、こっちや 映画監督・柳沢寿男の世界」の表紙
 障害者や難病患者と社会との関わりを丹念に問い続け、障害児施設に密着した「夜明け前の子どもたち」など先駆的な福祉ドキュメンタリー映画5部作を残した柳沢寿男監督(1916~99年)を再評価する動きが活発だ。東京・渋谷の映画館で3日から特集上映が始まり、業績と人物に光を当てた書籍も10日に出版される。

 柳沢監督は40年、松竹京都の時代劇映画で監督デビュー。戦後は官庁や企業のPR映画、文化・教育映画を多数手掛け、60年代以降は自主制作で福祉の現場に密着した。

 特集上映は「シネマヴェーラ渋谷」で16日まで。滋賀県の重症心身障害児療育施設の子どもたちや職員を描いた「夜明け前―」や、盛岡市の農耕型福祉の試みを捉えた遺作「風とゆききし」のほか、富士山頂観測所、北九州の遠洋底引き漁船などを取材した短編記録映画を集めた。

 5部作の一本から題を採った新刊書「そっちやない、こっちや 映画監督・柳沢寿男の世界」(新宿書房)は、散逸していた監督自身の文章、評論家や研究者による論考、詳細な作品リストなどをまとめた。

 共編著者で、柳沢作品の自主上映運動に長年携わってきた浦辻宏昌さん=奈良市=は「障害者福祉の原点が忘れられ、相模原殺傷事件も起きてしまった今こそ監督の歩みを見つめ直したい」と話す。

(2月2日18時05分)

文化・芸能(2月2日)