<男子滑降> 最大斜度31度、技と度胸要求されるコース
今大会のために準備された滑降コースは全長約3270メートル、最大斜度31度、三カ所のジャンプと高速ターン、うねりのある緩斜面など、スピード感覚に加えて、テクニカルな要素をふんだんに盛り込んだ。標高差は925メートル。兎平から上の標高1765メートル地点から、国際ゲレンデのゴール地点まで一気に滑り下りる。
コース(イラスト参照)の流れに従ってみどころを見てみよう。スタート直後は国立公園第一種特別地域への立ち入りを避け、ほぼ直線的なライン。全日本スキー連盟・富井澄博アルペン技術委員長は、ここでスピードは早くも時速100キロを超えるとみる。だが、従来のスタート地点からのコースへ合流する直前はほとんど平ら。ここを大きくターンしながら通過し従来コースに合流、次のポイントの「アルペンジャンプ」へと向かう。
新コースでは、上部からのスピードの減殺をいかに防ぐかが最初の勝負のポイントになる。技術的には従来のコースにほとんどなかった緩斜面が加わることで、「スキーを滑らせる」テクニックが必要になる。緩斜面の滑りは滑降の大事な要素の一つだ。
「アルペンジャンプ」は丸山仁也競技委員長が「70メートルは飛ぶだろう」と予測する、三つのジャンプの中でも最大。まるでノーマルヒル・ジャンプだ。これをクリアすると、雪を盛ってうねりを作った片斜面。ライン保持のテクニックが要求される。
兎平に向かう「ラビットトラバース」もラインを外さない細心の注意が必要だ。ゴンドラ駅付近の高速ターンを乗り切ると、選手はホッとひと息。だが、それもつかの間。リフトをくぐる付近の「パノラマライン」は、急なターンが続く。スピードは出ている。ジャンプのような派手さはないが、次の「ルッシジャンプ」へのコースどりは、勝負のポイントの一つである。
「ルッシジャンプ」は50メートルくらい飛びそう。「アルペン」に比べて飛距離は小さいが次に「アダムズバウル」の高速ターンが控えている。ジャンプをむしろ抑え気味にし、スピードコントロールとジャンプ前後の攻略法が最大のみどころともいえる。
終盤にかかると今度は緩斜面だ。うねりがあり、先の斜面は見えない。コース幅が狭まる「バキュームチューブ(真空管)」を通り抜けるまで、最短コースを保持できるかもポイント。スピードが上がったところでカーブの連続。さらに最後の難関、「カモシカジャンプ」が待ち受ける。飛距離予想は60メートル。コース最大斜度、31度の壁を一気に舞い下りてフィニッシュだ。
<男子スーパー大回転>
スーパーGは滑降のラビットトラバースの上部、1490メートル地点からスタートする標高差650メートルのコースで行われる。
<女子滑降>
女子滑降コースは、全長2654メートル、標高差781メートル。標高1680メートル地点から白馬国際ゲレンデと咲花(さっか)ゲレンデに挟まれたゴールまで一気に滑り降りる。札幌五輪男子滑降金メダリストのベルンハルト・ルッシ氏(スイス)が設計したコースは、急斜面と緩斜面の組み合わせに加え、二カ所のジャンプ、高速でのターンやリズムの切り替えが要求され、難度が高い。
レースの見どころを探ってみよう(イラスト参照)。白馬の街並みが一望できるスタートハウスを飛び出した選手たちは、直後にある直線的な斜面「クロビシ」でまもなく時速約100キロに到達する。
「ソデグロ」から「ラビッツフット」にかけては高速ターンの連続で、スキー操作の巧拙が問われる最初のポイントだ。「ラビッツフット」は緩斜面だが、中間に大きな起伏があるうえ、小さなうねりもあって気が抜けない。体を卵形に丸めて空気抵抗を少なくする正しいクローチングフォームやスキーを滑らせる技術が要求される。
幅が広くなったパノラマコースに出ると、そこには「パノラマジャンプ」がある。これをクリアすると、最大の難所が待ち受ける。右に鋭くカーブする「サンテラスヘアピン」だ。二十五日の公式練習で滑った前走の選手たちが「強い遠心力で身体が自分の意思と逆の方向に流される」と話していた。いかに減速せず、スムーズに抜けられるかが勝負を分けそうだ。
脚に疲労物質の乳酸がたまってきた選手たちを苦しめるのが、ポール間隔が狭く、左右のターンをリズミカルにこなす必要のある「タテッコ」。その直後に30メートルほど飛ぶ「ウマドメジャンプ」がある。最後の「サッカウエーブ」は大きなうねりがゴール直前まで続く。緩斜面でのうねりは、思わぬタイムロスにつながるケースも出てきそうだ。
勇気や一瞬の判断力が不可欠なのはもちろんだが、正確なターン、的確なライン取りといった高い技術も要求される。
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