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スピード女子五百「金」松江 伝えたい「カッコよさ」



 会場を埋めた八千人以上の大歓声や拍手が、懸命に滑る選手たちを後押しした。長野冬季パラリンピック第三日の七日、アイススレッジスピードレース会場の長野市エムウエーブは、十五個のメダルを獲得した日本勢の活躍に沸いた。五輪時と変わらぬ盛り上がり。自分の限界に挑み、全力を尽くした選手たちはレース後、スタンドに手を振り、絶え間なく続いた応援にこたえた。

 表彰台から観客席に大きく手を振る顔が次第に紅潮した。0秒17差で敗れた百メートルの雪辱を果たし、五百メートルで優勝した松江美季選手(24)=東京都。「私たちの滑りをカッコいいと思った人がきっといる。そういう人が増えれば、障害者スポーツに対する認識も変えることができる」。常に口にしていた思いをぶつけた会心のレースだった。

 東京学芸大体育学科四年。入学後、柔道部に入ったが、一年生の時、交通事故で脊髄(せきずい)を傷めた。「足が動かない事実より、自分が『障害者』の立場になるということがショックだった」。自分の中にあった「障害者はかわいそう」という偏見に気付いた。気持ちを変えたのは、事故から半年後、リハビリテーションセンターの体育館で見た車いすバスケットボールだった。

 車いすレースを始め、九五年の全国身体障害者スポーツ大会で優勝する。けがをする前は、「強くなりたい、結果を出したい」という思いだけだった。けがをした後、自分の中でスポーツの重みが増した。「精神的に弱い時に限って言い訳をしてしまう。でも、スポーツは心を強くしてくれる」

 入学当時から同級生だった松崎信也さん(23)は、五百メートルレースの前に観客席から松江にガッツポーズを送った。「松江から感じ取ったことは計り知れない」。事故後、愚痴を言ったり暗い表情の松江を見たことがない。「自分が挫折した時、松江の顔が浮かぶ。自分はこんなことで何をつまずいているのか―と思う」

 九月から一年間、米国に留学する松江。障害者へのスポーツ指導法を学ぶ。車いすで参加した教育実習で自分の将来が見えた。「障害のある子どもたちにこの喜びを伝えたい」



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Copyright 1998 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun