パラリンピック・タイトル
3月8日(日)
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未知の世界、大きな収穫 奥原、百「銀」五百「銅」



 「これがパラリンピックですよ」。百メートルで銀、五百メートルで銅を獲得した奥原明男選手(39)=南安曇郡梓川村=は、目標のメダルに届いたが、いまひとつ記録を伸ばせなかった。九六年アトランタ大会の車いすバスケットボールで、日本チーム主将を務めたベテランも、独りで戦う世界の舞台で緊張した様子。さばさばした表情の中に、無念さもにじませた。

 14秒台を出すつもりだったという百メートル。屋外リンクの練習で15秒台前半を出しており、屋内のエムウエーブでは、さらに記録を縮める計算だった。だが、スタートで力んでスピードに乗れず、ばん回しようとしてさらにバランスを崩した。15秒50。五百メートルでも緊張で手に汗をかき、スティックがうまく操れなかった。

 「大舞台には慣れていたつもりだったが…。あれだけの歓声の中で、集中力を持っていけなかった」。だが、その緊張感やプレッシャーとの戦いを、「個人競技の素晴らしい魅力であり、アイススレッジで得た一番の収穫だった」と話した。未知の世界に飛び込んだ挑戦に悔いはない。長野大会は、メダルと新しいスポーツの喜びを与えてくれた。

 妻のいずみさん(40)は、観客席の最前列で奥原の姿を祈るように見つめていた。百メートルの表彰式で「奥原」と名前が呼ばれると、こらえきれずに涙があふれた。五百メートルの表彰式後、いずみさんの前までやってきた奥原は「ほら」と、ちょっとぶっきらぼうに冠と花束をほうった。受け取ったいずみさんは、「最高のプレゼントです」と言葉を詰まらせた。



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Copyright 1998 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun