パラリンピック・タイトル
3月9日(月)
line

パラリンピック
競技結果
日程
競技紹介
日本選手一覧
アラカルト
足跡
写真グラフ

line

五輪フロント
競技結果
メダリスト
PDF号外
競技日程
写真グラフ
競技と選手
日本選手一覧
競技会場
五輪の舞台
アラカルト
周辺の情報
運営と支援
交通情報
観戦・入場券
五輪への足跡
五輪企画
五輪からあすへ
参加国紹介
テレビ番組

line

信毎フロント
主なニュース
就職ガイダンス
写真グラフ
市町村の話題
インターネット
長野生活大百科
出版案内

line

アルペン滑降の愛川 転倒…でも懸命のゴール



 「息子の顔をちゃんと見たい、自分の生き方を伝えたい」。息子の目の前で転倒した父は、力を振り絞って立ち上がり、ゴールを駆け抜けた。先天性の脊髄(せきずい)まひで、同様に両足の機能障害がある父と子。パラリンピック初出場の舞台に立った父は、「息子から見て格好よければ、それでいい」と目を潤ませた。

 下高井郡山ノ内町の志賀高原東館山で、八日行った長野パラリンピック・アルペン滑降男子。LW(運動機能障害)3クラスの愛川修司選手(35)=東京都杉並区=は、ゴール後、長男の翼君(12)に向かい、アウトリガーを突き上げた。

 愛川はゴール直前の急斜面での転倒が響き、トップと34秒54差の1分41秒78。完走者中最下位の12位だった。

 観客席の最前列には、翼君=区立三谷小六年=、妻の理世さん(36)、二男の彗君(10)=同小五年。愛川のスタートが告げられると、理世さんは祈るように両手を組み、翼君はじっと斜面に姿を見せる父を待った。転倒に、家族は言葉を失い、理世さんは手を目にやった。しかし、愛川は起き上がった。

 夫妻は都社会事業学校の同級生。卒業後結婚し、翼君が生まれた。「障害がある夫と一緒に生きていく覚悟はあったけれど、子どもも同じ障害になるなんて信じられなかった」と理世さん。成長するにつれ、自分が友達と違う足だと気づき始めた翼君。一緒に遊べないことに不満を募らせ、「障害を納得するまで時間がかかった」(理世さん)という。

 しかし、愛川は言葉ではなく、「自分の生き方」で翼君に語りかける。九四年のリレハンメル大会後、ゲレンデスキーから一歩踏み出し、長野パラリンピックを目指してきた。

 レース後、愛川は理世さんと目を交わした。涙がにじんだ。「息子が何か感じてくれれば。息子が大きな舞台に立つ時、何かのプラスになれば…」。だからゴールにこだわった。

 翼君は愛川のレース前、「お父さんと一緒にパラリンピックに出てみたい」と明かした。「この足を治したい。普通の人と一緒に遊んだり、スキーをしてみたい」とも。

 ゴールした父を見て、翼君は笑顔を浮かべてこう言った。「一生懸命滑ってくれた。うん、格好よかったよ」



掲載中の記事・写真・イラストの無断掲載を禁じます。
Copyright 1998 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun