子ども木やり華やか 快晴の諏訪「みなで盛り上げ」



 諏訪地方を熱気で包みこむ諏訪大社の御柱祭が六年ぶりにめぐってきた。上社の山出し祭が始まった三日の同地方は快晴に恵まれ、参加した氏子らの顔も明るさであふれた。この日の午前中の人出は氏子や見物客合わせて約三万二千人。にぎやかに御柱の綱を引く曳(ひ)き子や木やり衆の中には、女性や子どもの姿がかつてないほど目立ち、待ちかねた祭りを楽しもうという気分でいっぱい。力強さとともに和やかで華やかな祭りを印象付けた。

 諏訪郡原村中新田の自営業中村八重子さん(52)は、娘の美恵香さん(14)と木やり衆に参加。「娘は若いので声に張りがあり、私よりうまくできた」と満足そう。美恵香さんも「大きな声を出して木が動いたのは、とても気持ち良かった」と喜んでいた。

 時間調整をしながらゆっくりと進む八本の御柱。御柱が止まると太い綱の上に小さな子どもが乗り、若い女性たちがお菓子を食べながら談笑。御柱の前後にV字型に張り出した「めどでこ」は、各地域の屈強な男たちが乗り、勇壮さを演出してきたが、今回は子どもの姿も目立ち力強さばかりが強調されてきた祭りに和やかなムードが広がる。

 「本宮二」の氏子総代で、数十年間祭りにかかわってきた加藤栄一さん(65)=茅野市米沢=は「夕べはなかなか寝つかれなかった」と言いながらも晴れやかな表情。昔はけんか祭りと言われていたが、安全優先のための曳行時間の制限や女性や子どもの参加など移り変わる御柱祭の姿を、「いいことだと思う」と話した。

 「前宮一」を担当する富士見町地区の富士見木遣(や)り保存会リーダーで、富士見高原中学一年の古林一美君(12)は二回目の参加。一月下旬からほぼ毎日練習してきた。ラッパ隊で参加した父謙一さん(39)があこがれで「間違ってもいいから練習の成果を思い切り出そうと思う。みんなで一緒に祭りを盛り上げたい」と力強く話していた。

(1998年4月3日 信濃毎日新聞掲載)