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先頭の「本宮一」の御柱が木落とし坂に到着した午前九時すぎ。続々と観客が集まり、茅野市が用意した大型車三十台、普通車千二百台収容の運動公園駐車場も午前十時すぎには満車状態。二番手の「前宮一」が到着したころには坂周辺に入りきれず、警察官が「川越しに回ってください」。坂のすぐわきに陣取った茅野市北山の斉藤マツ江さん(61)は「毎回見てるけど、一番多いよ」と群衆を見つめた。
一方、川越しの両岸は三百メートルにわたって身動きができないほどに埋まった。ブラジルから茅野市の友人を訪ねて来た日系二世の大野オーゴさん(40)夫妻は「危ない祭りで驚いた。六年間にたまったエネルギーでしょうか」。フィリピンから来たリーン・ホーナーサンさん(30)も初めての御柱祭に「母国にも川に船を浮かべる祭りがあるけど、川越しの方がすごい」とすっかり気に入っていた。
五輪開会式を見て静岡県から来たというイギリス人の英語教師トレイシー・リチャードソンさん(23)は、友人三人と宮川の土手で見物。「とっても興奮した」と話しながらも、やや疲れた表情だった。開会式の建(たて)御柱のウインチを作った舞台装置メーカーに勤める中村秀人さん(47)=東京=は「自分の手掛けた仕事が少しでも(観客増に)影響したと思うとうれしい」と笑顔だった。
(1998年4月5日 信濃毎日新聞掲載)