息のむ春宮境内裏手への急坂 御柱2本、滑り落ちる


 下社里曳き祭で最大の難所とされる春宮境内への木落とし坂。とりわけ「春宮三」と「春宮四」を落とす境内裏手への坂は、林の中を縫う約三十五メートルの急斜面で、危険度も高い。大勢の観客が木立の中を埋め、木落としの様子を息をのんで見守った。

 「春宮三」が坂のてっぺんからせり出してくると、観衆からは「オーッ」という低いどよめき。甲高い木やりとラッパの響きを合図に、氏子らを振り落としながら柱が一気に滑り落ちると、拍手と歓声が上がった。

 「春宮四」の木落としを見た蔭山四郎さん(64)=愛知県豊橋市=は「まさか人が乗って降りるとは思わなかった。御柱祭の勇壮な姿を見ることができて『言うことなし』だ」と感激していた。

(1998年5月10日 信濃毎日新聞掲載)