迫られる安全対策 下社里曳き閉幕

(2010年5月12日) 

無事に御柱が立ち上がった下社秋宮境内。氏子たちが達成感をかみしめるように掛け声を合わせた=10日

 諏訪大社御柱祭の下社里曳(び)きが10日終わった。御柱の曳行(えいこう)や建て御柱、長持ちや騎馬行列などのパレードが連日注目を集め、3日間で氏子と観衆を合わせた人出は1998年に次いで2番目に多い計44万9千人となった。ただ、初日の建て御柱で氏子が観衆の目前で柱から落ち、2人が死亡する事故が発生。祭りの盛り上げと安全面の確保をどう両立させるか、課題をあらためて浮き彫りにした。
 下諏訪町の国道20号でのパレードには8、9日に延べ約70団体が参加。騎馬行列に初めて女子が参加するなど子どもが担う場面も多く、各地区の伝統の継承や広がりが見られた。祭りの情報を集約して電話対応した諏訪地方観光連盟の御柱祭情報センターでは連日、問い合わせがひっきりなしに寄せられたという。関係者は「情報提供に効果があったのでは」とする。
 4月2日の上社から始まった計12日間の祭りの人出は、192万5千人と過去最高を記録。全般に好天にも恵まれ、祭りに対する注目度の高さを表した。
 一方で、8日の「春宮一」の建て御柱では、ほぼ垂直になった柱の先端に乗っていた3人が落下、2人が命を落とし、境内を埋めた氏子や観衆に大きな衝撃を与えた。柱を支えていたワイヤが切れ、柱が揺らいだとみられる。事故当時、3人が命綱を付けていなかったとされることに、曳行の関係者は一様に無念さをあらわにした。
 ほかの御柱で曳行長を務めた大総代の一人は、祭りの勇壮な面が注目されるにつれ、本来の厳粛さが足りなくなってきたのではないかと指摘する。過去にも、建て御柱で命綱などを付けずに柱に乗る氏子はいたといい、「『あいつがやるならおれも』と波及していった面がある」と説明。その上で「氏子は祭りで奉仕する立場。個人が目立つ必要はない」と強調する。曳行責任者の中には「周囲への安全対策は絶対必要だが、自分の身は自分で守るもの。規制が強まるのはどうか」とする意見もある。
 11日、諏訪大社下社春宮と秋宮の境内では、御柱の根元の地面を木づちで打ち固める神事が行われた。参列者の一人で、大総代でつくる下社三地区連絡会議の宮坂隆平会長(68)=岡谷市若宮=は「少し時間を置いて反省会を開き、次回以降の安全対策を考えたい」と話した。