TOP2014年10月王滝の味、久しぶり 郷土料理店に噴火後初の客
御嶽山噴火後、初めての食事客をもてなす瀬戸さん(左奥)=29日正午すぎ、王滝村

 御嶽山噴火後、木曽郡王滝村の予約制の飲食店「郷土料理ひだみ」に29日、噴火後初めての食事客が訪れた。店では村で採れたドングリを使った郷土食を提供しているが、噴火を受けてキャンセルが続いていた。29日は、木曽町から訪れた約1カ月ぶりの客が、地元の秋の恵みを味わった。

 王滝村ではドングリを「ひだみ」と呼んで食用にしてきた。店は、ドングリや地元食材を使った手作りの食事を予約制で提供。弁当や菓子の注文も受けている。

 噴火により村内で予定していたハーフマラソンなど幾つかの行事が中止に。食事予約数件、三十数人分の弁当といった予約は相次いでキャンセルされた。麓でも降灰の影響があるのではないかと心配する電話や手紙が10件以上あったという。店を切り盛りする瀬戸美恵子さん(66)=王滝村=はこの間、そうした問い合わせに「麓は大丈夫」と伝えてきた。

 瀬戸さんはこの日、久々に腕を振るって、ドングリの粉入りの揚げ餅、ドングリの粉を煮出した液体のゼリー、栗の渋皮煮など10種類ほどを提供した。家族ら5人で訪れた木曽郡木曽町の巾(はば)恒美さん(68)は「秋の地の物がふんだんに使われていた。また来たい」と満足そうだった。

 久しぶりの食事客に瀬戸さんは「おいしいと言ってもらえるのはうれしい。(評判が)広まっていくといい」と笑顔。ただ、この先の食事や弁当の予約はまだない。「(噴火は)仕方ない。そのまま受け止めないと。店はゆっくり続けたい」と構えている。

2014年10月30日掲載