TOP2014年10月御嶽教訓に装備を充実 県内外の消防本部
隊員が御嶽山の捜索で使用した防火衣。体を危険から守ったが、一方でその重さは体力を奪った=甲府市の甲府地区消防本部

 御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、登山者の救助や捜索に関わった県内外の消防本部が、これまで想定していなかった3千メートル級の山岳での救助活動も可能な装備への見直しを進めている。富士山の地元の山梨県は、捜索で使った防火衣は山岳地帯では重すぎるとし、基本装備から見直す方針。御嶽山麓の木曽広域消防本部をはじめ、浅間山がある佐久広域連合消防本部や、焼岳がある松本広域消防局など長野県内でも、火山ガスの検知器導入などの検討が始まった。

 「富士山の噴火に備え、装備を充実させる必要がある」。甲府地区消防本部(甲府市)の望月英介警防課長(58)は山梨県隊長として御嶽山の捜索に加わった経験から、来年度以降、軽量の捜索着や登山靴などを充実させる考えを示す。「火災などで使用する防火衣は10キロ近くあり、御嶽山の捜索で隊員の体力を奪った」と感じたからだ。

 特に台風18号通過後の捜索活動は困難を極めた。灰は水を含み泥のようになった。長靴に水が染み込んだり泥が中に入ったりして足が冷え、痛みをこらえる隊員がいた。汗ばむほどだった捜索初日と比べ急速に冷え込み、体力を奪った。「冬に富士山が噴火すれば同様の捜索課題に当たる可能性がある。防寒着や登山用の靴なども必要になる」

 御嶽山の捜索に参加し、富士山が管内にある富士五湖消防本部(山梨県富士吉田市)の勝俣章人消防司令(47)も「防火衣の重さと、防寒対策が課題」と話す。同本部は夏場、富士山を巡回パトロールするため、登山靴はある。救助に向かうまでの間に体力を奪われないよう、歩行を補助するストックなどが必要とみている。

 木曽広域消防本部は、10個備えている防毒マスクの口元に付ける吸収缶や、火山ガスの検知器の購入を検討し、見積もりをした。滝沢修二警防係長は一方で「吸収缶には使用期限があり、検知器も高額。消防としては遭難や交通事故の対応が多い中で、限られた予算をどこに使うかは難しい」と頭を悩ませる。

 浅間山を管轄する佐久広域連合消防本部も、一般的なガス検知器しかなく、二酸化硫黄も検知するガス検知器の配備は「重要な検討事項」(警防課)とする。

 「これまで3千メートル級の山岳地帯での救助活動は想定していなかった」と松本広域消防局の担当者。「松本は焼岳、乗鞍岳などの活火山を抱えている。今回の活動で、山岳地帯での救助活動も決して想定外ではないことが分かった。装備を充実させる必要がある」とし、御嶽山での救助・捜索活動を検証した上で、必要な装備を精査していく考えだ。

2014年10月30日掲載