TOP2014年10月持ち主不明の遺留品160点 ホームページ公開検討

 御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害の救助・捜索活動で、山頂付近で見つかり、持ち主が分からなかった100点以上の遺留品について、県警は30日、登山用ザックや衣類、カメラなど、現時点で約160点に上ると明らかにした。今後、持ち主が長期間分からなかった場合は県警のホームページで遺留品を公開することも検討している。

 県警などが救助・捜索活動で持ち帰った遺留品は計約600点。持ち主が特定できた物については、既に本人や家族らに返還した。所有者の特定につながるよう、県警が発見状況を詳しく記した物もあるが、名前が書いていなかったり、遺族が犠牲者の所持品をはっきりと覚えていなかったりして、持ち主特定につながらない物が残っている。

 県警は30日、これまで保管していた木曽郡木曽町の旧上田小学校から、同町の木曽署に移した。県警は、犠牲者や行方不明者の家族のほか、下山した登山者らに申し出てもらい、返還を進めたいとしている。問い合わせは、木曽署(電話0264・22・0110)へ。

<遺族ら「早く家族の元へ」>

 犠牲者の家族にとって、犠牲者が身に付けるなどしていた品々はかけがえのない物だ。次男と交際相手を失った愛知県一宮市の所清和さん(53)は30日、遺品について「私にとっては、その時に(次男が)御嶽山に登っていたんだという証しになる大切な物」と話した。

 所さんによると、次男の祐樹さん(26)のカメラや登山靴、携帯電話、財布、衣類など大半の遺品は戻ってきた。ぼろぼろのカメラの中に入っていたメモリーカードには奇跡的に画像が残っていた。亡くなった交際相手の丹羽由紀さん(24)と剣ケ峰山頂で仲むつまじく並んだ記念写真を見て、涙が出てきたという。

 「いつか、この靴を履いて御嶽山に登りたい」と灰まみれになった登山靴はきれいに洗い流し、大切に保管している。「遺品に対する遺族の思いはさまざまだと思う」が、持ち主が分からない遺留品は「早く遺族の元に戻ると良いですね」と話す。

 犠牲になった松本市岡田町の若林和男さん(66)の妻けい子さん(64)も30日、遺留品の返還を「遺族としてはありがたい」と言った。若林さん宅には22日、行方が分からなかった右足の靴が県警から届けられた。けい子さんは「片方しかないと思って諦めていたので、両方そろった時はうれしかった」。火山灰はきれいに落としてあり、気遣いに感謝した。帽子は見つかっておらず、「難しいかもしれないが、見つかればうれしい」。

 一方、犠牲者の家族を担当し、ザックなどを手渡した県警本部の田中良美巡査部長(32)は29日の記者会見で「家族に感謝された」とした上で、「遺留品はほぼ戻ってきたけれど、命だけは戻って来なかったとぽつりと言われ、家族の悲しみは深いと感じた」と話した。

 高橋佳央里巡査部長(34)は、担当になった家族に、遺体が発見されるよりも先に遺留品が見つかって返すことになった。「家族から今まで不安だったが、少し落ち着いたと言われた。家族にとってはどんな物でも大切なのだと思った」と感想を語った。

2014年10月31日掲載