TOP2014年12月支え合う御嶽の遺族 行政の協力求める声も

 上伊那郡南箕輪村の高木啓光さん=当時(37)=が9月27日の噴火前、御嶽山で撮影した写真を通じて遺族6人がつながった。犠牲者の居住地が16都府県に及び、遺族は全国各地に分散。孤立しがちな状況をどう支えるかは課題になっている。高木さんが残した写真が遺族を結び、それぞれが思いを語り合う場を得た意味は大きい。さらに遺族同士をつなげるため、行政の協力を求める声も上がっている。

 「噴火の予知は無理ということばかり言っている」。高木さんの母佳子さん(64)は、火山噴火予知連絡会の対応に疑問が拭えない。

 予知が難しいなら、1979(昭和54)年に噴火して以降、91、2007年にも小規模な噴火を起こしていた事実を受け止め、発生を想定した対策が施せなかったのか。高木さんが見つかった剣ケ峰から、約500メートル離れた王滝頂上小屋に設置してあった緊急連絡用スピーカーは作動したのか、登山口に活火山を知らせる看板はあったのか...。

 「噴火と知らずに噴石が当たってしまったのでは」。噴火の16日前、火山性地震が増えたが噴火警戒レベルを引き上げなかった気象庁や登山者を呼び込んできた県や地元自治体が、どう省みたのか知りたいとの思いが募る。

 「遺体が見つかったら終わりなのか」。次男祐樹さん=当時(26)=を亡くした愛知県一宮市の所清和さん(53)は、木曽郡木曽町、王滝村に献花台が設置されたことを報道に触れるまで知らなかった。全国に散らばる遺族は、身近に思いを共有する人が少なく、情報が不足していると感じている。

 20日、遺族6人が集まった所さん宅で、佳子さんや清和さんは率直な思いを吐き出した。4時間余にわたって悲しみに向き合った災害後の日々を振り返り、現在の悩みや故人の思い出を語った。憤りや疑問を含めて語り合う場の必要性を痛感した清和さんは「ほかの犠牲者や生還者が撮影した写真の情報も集まるとうれしい」。他の遺族や生還者から写真や情報を共有し、つながりたいという。

 遺族や生還した登山者らが抱える心の苦しみをどう癒やすかは、被災者が1カ所に集中しているわけではない今回の火山災害の課題となっている。長野県などは遺族に対し、各都道府県などの精神保健福祉センターにある相談窓口の連絡先を伝えている。これに対し、佳子さんや清和さんは、点在する遺族だけで横のつながりをつくるには限界があるとし、「行政にも協力してほしい」と求めている。

2014年12月27日掲載