TOP2015年02月苦境の宿泊業、ほっと一息 王滝唯一のスキー場開業
滑りを楽しんだ宿泊客らといろりを囲んで談笑する島尻さん(右端)=26日午後5時22分、王滝村

 御嶽山噴火の影響で開業を見合わせていた王滝村のスキー場「おんたけ2240」が営業を始めた26日、苦境に耐えてきた村内の宿泊施設の経営者は、ほっとした様子で今後の集客に期待した。ただ自身の高齢化などで展望が見通せない経営者もあり、この機会に新たな観光の在り方を探るべきだとの声も上がった。

 「今日を待ち望んでいた」。村民宿組合長の島尻淳さん(52)は26日夜、経営するペンションにある自慢のいろりで、滑りを楽しんできた宿泊客をもてなした。この日の宿泊客は3人。今週末は10人超、3月には約20人の予約が入った。「例年の同時期より良いかもしれない」と手応えを感じる。

 スキー場の営業休止の打撃は想像以上だった。売り上げに占めるスキーシーズンの割合は大きく、年間売り上げの4分の1は年末年始に稼ぐ。しかし今年は前年の20分の1に落ち込んだ。

 なじみの客のキャンセルは精神的につらい。スキーやスノーボードの指導員の育成も担う島尻さんの技術指導をいろり端で受けられるのがペンションの売り。ジュニア選手の合宿で長年訪れる団体客から昨年末「見送りたい」と断られ、胃が締め付けられる思いだった。

 「せめてもの収入」にと、この冬は志賀高原と菅平高原のスキー場で講師を務めた。平日はにぎやかなスキー場で働き、週末はひっそりとした村に帰った。そうした我慢の日々を終え、島尻さんは「5月まで一直線に頑張りたい」と人一倍意気込んでいる。

 ただ、そうしたムードも一様ではない。スキー場近くにある民宿にこの日、宿泊客はいなかった。予約もない。おかみの松原あや子さん(70)は「山麓は安全というイメージを広げるのはありがたいが、個々の経営は厳しいのは変わらない」と話す。

 村内の民宿約15軒のうち後継者に悩む経営者は多い。「先行きは非常に厳しい」と考え、松原さんも長男に継がせるつもりはない。噴火を契機に「若い世代の知恵を借りて、スキー場に頼らない生き方を真剣に考えていかないといけない」と訴える。

 経営者の中で若手の島尻さんも「新しいアイデアを考え、ピンチをチャンスに変えなければならない」と強調。アウトドアスポーツのイベントや合宿の誘致に力を入れたい―と雪解け後を見据えた。

2015年2月27日掲載