TOP2015年02月スキー場、県内外からスタッフ60人 「安全第一で迎えたい」
王滝村のスキー場で働いて37年になる下村さん(中央)。今冬もリフト乗り場で客を迎えることができた=26日午前10時40分ごろ

 木曽郡王滝村のスキー場「おんたけ2240」を運営する御嶽リゾートは、1月下旬にスタッフの募集を始めて約1カ月で想定した約60人を確保した。営業再開を信じていたというベテラン、スキー場で働いてきた経験を役立てようと初めて応募した人...。さまざまな思いの人が、噴火災害に翻弄されたスキー場を支えようと集まった。

 「いらっしゃいませ」。26日、ゲレンデ上部のリフト乗り場で王滝村の下村太郎さん(73)は、客一人一人に頭を下げて迎えた。夏場は林業に従事し、冬場にこのスキー場で働いて37年。夏の仕事は引退したが、村の産業を支えたいとスキー場の仕事は続け、今冬も開業を待っていた。

 御嶽山でスキー場の営業が始まったのは1961(昭和36)年。スキーブームが続いていた1993〜94シーズンは66万7600人が来場した。2013〜14年シーズン(約6万6千人)はその1割で、「昔と比べたら寂しくなった」と下村さんは言うが、人口約850人の約7割が観光産業に関わる王滝村では「貴重な働き口であることに変わりはない」。

 2カ月半遅れても開業できたことにほっとしたが、「噴火で被害に遭った人のことを考えれば手放しでは喜べない。安全第一でお客を迎えたい」と気を引き締めた。

 開業が遅れたため、例年同スキー場で働く人の中には他のスキー場で働いている人もいる。その代わり、公共職業安定所やインターネットなどを通じて同スキー場で働くのが初めてというスタッフが多く集まった。

 東筑摩郡朝日村の近藤宏さん(58)は、北安曇郡白馬村や朝日村のスキー場で約30年間、インストラクターやパトロール隊員として働いた。起業準備中だったが、おんたけ2240の営業開始を知り、役に立ちたいと応募した。今季は主にリフトの運行に関わり、「まずは運営が軌道に乗るよう、お手伝いをしたい」と話した。

 スタッフ60人のうち約40人が関東、東海、関西などからで、「経験はないが手伝いたい」という香港在住の日本人からの問い合わせや、「ボランティアでもいいので働きたい」という連絡もあり、「とてもありがたかった」と御嶽リゾート総支配人の栗屋文則さん(60)。26日は支援を兼ねて駆け付けてくれた知人もおり、「うれしくて涙が出そう」と語った。

 御嶽リゾートはスキー場の運営に関わって3年目。「今年営業しなければ、来年はないような気がしていた」と栗屋さんは話す。今季は収支が合うかどうか分からないというが、「噴火で沈んだ村を活気づけたい。安全対策をしっかりして、来季につながる営業をしたい」と力を込めた。

2015年2月27日掲載