TOP2015年04月御嶽山噴火の遺族会 同じ立場で思い共有 山の安全見守る決意
遺族会「山びこの会」の発足式で犠牲者に黙とうする参加者=19日午後1時4分、松本市中央1のMウイング

同じ立場で思いを伝え合うことができた―。昨年の御嶽山噴火災害の遺族会「山びこの会」の発足式が19日、松本市であった。大切な人を失った遺族32人が顔を合わせ、互いの気持ちを共有する初めての機会になった。会は将来、火山防災に提言することも見据えており、「山の安全」を高めることが犠牲者の慰霊につながると誓った。

 出席者によると、冒頭以外は非公開だった発足式で最も時間を割いたのは写真の交換だった。噴火当日の御嶽山で撮影された豆粒大の登山者。パソコンを操作して画像が拡大されると、参加者の1人が服装などを確認し、「ああ、本人だ」と声を上げた。「家族だから分かるんだ」と喜ぶと、会場に笑顔が広がった。

 事務局代表のシャーロック英子さん(56)は「噴火から7カ月近くになるが、情報を求めている方が多く驚いた」と受け止めた。

 「しゃべりたいが、吐き出す場がなかったんだろう」。娘の丹羽由紀さん=当時(24)=を失った愛知県一宮市の邦雄さん(53)は思った。つらい日々を泣きながら振り絞るように語る遺族の姿に、ほかの参加者はうなずき涙ぐんだ。

 県看護大(駒ケ根市)の今井家子教授(68)=災害看護学=は専門家として出席した。遺族たちの様子に「突然の死を受け止めながらも、帰ってくるかもしれないという気持ちで揺れ動いている」。今後も協力していくつもりだ。

 息子を失った県内の男性(57)は終盤に発言した。御嶽山噴火後に火山防災の見直しが進んだが、「災害を防げなかったことへの反省が十分なのか」と疑問の声を上げた。国や地元自治体が行おうとしている防災対策に、遺族の気持ちが十分に反映されているとは感じられないでいる。シャーロックさんは「57人の死を無駄にしないために、山の安全をしっかり確認することを会の原点にしたい」と口にした。

2015年4月20日掲載