TOP2015年05月火山の防災、遺族視点で 遺族会、行政と意見交換へ
御嶽山噴火災害の遺族会「山びこの会」の発足式。国、県、町村と話し合う場を設ける=4月19日、松本市

 昨年9月に起きた御嶽山の噴火災害で犠牲になった登山者の遺族でつくる「山びこの会」が7月4日、松本市内で火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長、国と県の担当者、木曽郡木曽町、王滝村の両町村長と火山防災をテーマに意見交換することが29日、分かった。噴火後、火山防災の在り方を検討した中央防災会議の火山防災対策推進ワーキンググループ(作業部会)の報告書を基に、遺族の視点から今後の防災対策に提案する場にしたい考えだ。

 地元からは木曽町の原久仁男町長、王滝村の瀬戸普村長、県危機管理部の職員、国は気象庁と内閣府の担当者が出席する予定だ。

 57人が亡くなり、6人が行方不明となった御嶽山噴火災害について、▽事前に火山性地震が増えていたのに噴火警戒レベルが引き上げられなかった▽登山者に注意喚起する情報伝達が足りなかった―など、観測・予知や防災対策が不十分だったことを問題視する遺族が少なくない。山びこの会事務局代表のシャーロック英子さん(56)=東京都=は「直接質問して確かめる場をつくりたい」と、関係者に声を掛けてきた。

 中央防災会議の作業部会(事務局・内閣府)が3月にまとめた報告書は、地域ごとの「火山防災協議会」を法的に位置付けることなどを国に要請。政府は29日、同協議会の役割を定めるなどした活動火山対策特別措置法(活火山法)改正案を閣議決定した。

 これに対し、シャーロックさんは「遺族の視点から見ると不十分な点、追加してほしい部分があると思う。意見を出していきたい」とする。山びこの会は、火山防災の仕組みづくりへの提言を活動の目的に掲げており、「火山について遺族が自ら学んでいくきっかけにして、提言に生かしたい」と話す。

 作業部会でとりまとめ役の主査を務めた藤井会長は信濃毎日新聞の取材に対し「予知は完成した技術ではなく、何とか向上させたいと火山関係者で取り組んできたが、まだ実現していない。意見交換の場では、科学の状況についてお伝えしたい」としている。

2015年5月30日掲載