TOP2015年07月「全員発見を」山麓から祈り 木曽と王滝の住民ら
犠牲者への祈りを捧げる人たち=29日、王滝村の田の原遥拝所
午前8時5分の捜索開始を知らせる県職員=29日、王滝村の八海山

 昨年9月に噴火した御嶽山で29日、行方不明者6人の捜索が約9カ月ぶりに再開された。全員の発見は、山麓の木曽町と王滝村の住民や観光関係者らにとっても悲願だ。山麓ではこの日、捜索が順調に、そして安全に進むことを願う人の姿が目立った。

 御嶽山の山腹にある王滝村のスキー場「おんたけ2240」などの運営を担う御嶽リゾートの栗屋文則総支配人(60)は同日朝、スキー場敷地内にある事務所に来る途中、山頂に向かって飛び立ったヘリの音を聞いて「いよいよ始まったな」と感じた。捜索隊員は、同社が周辺で運営する宿泊施設に泊まっており「捜索が順調に進むよう、できる限り協力したい」と話す。

 同じく山腹で「御岳ロープウェイ」を運行するアスモグループ(木曽町)の今孝志社長(61)は「一刻も早く行方不明者が家族のところに戻ることが第一」。入山規制で、木曽町の黒沢口登山道は8合目までしか行けないため、ロープウエーの利用者は今年、予想以上に少ない。「捜索が終わった後に、木曽地方の観光が上向くことを願っている」と話す。

 御嶽山7合目、王滝村の田の原ではこの日、観光客や御嶽教の信者らの姿もあった。昨年の噴火直前、御嶽山を訪れた徳永喜子さん(67)=愛知県蒲郡市=は、家族と一緒に田の原遥拝所や近くの献花台を訪れて手を合わせ、「行方不明者を早く家族の元に帰してあげてください」と願った。

 御嶽山が見える木曽町三岳で宿泊施設を営む本南忠宜さん(78)は、「不明者が早く見つかり、御嶽山が早く元の静かな山に戻ることを願っている」と言った。この日、犠牲者のための献花台がある王滝村の松原スポーツ公園内で草刈り作業に汗を流した大原博介さん(71)は「行方不明者が見つかれば、村にとっては一区切りになる」と、捜索の進展に期待した。

 木曽町の原久仁男町長は、スコップなどで灰を掘り起こしている様子をテレビのニュースで見て、「本当に過酷な中で作業をしてもらっている」と、捜索隊員に感謝した。王滝村の瀬戸普村長は行方不明者の早期発見に期待しつつ、「念には念を入れ、安全第一でやってもらいたい」と話していた。

2015年7月30日掲載