TOP2015年07月早く帰って来て 待ちわびた再捜索、見守る家族

 早く会いたい―。噴火した御嶽山で行方不明になった6人の捜索が再開された29日、山麓の待機所に集まった家族は山頂周辺に向かう捜索隊に願った。この日、新たな手掛かりは見つからなかったが、家族は捜索結果を熱心に聞き、自衛隊ヘリコプターで空から山頂付近を確認したりした。

 複数の家族によると、木曽郡木曽町の県木曽合同庁舎に設けられた待機所には、行方不明者5人の家族が訪れたという。

 高橋裕輝さんの家族は父武男さん(76)、母恵子さん(73)、姉の山本磨珠さん(45)、めいの成珠さん(16)の計4人が札幌市から訪れた。高橋さんは損保ジャパン日本興亜(東京)の同僚8人と登って噴火に遭い、一ノ池方面に逃げたとみられる。恵子さんや磨珠さんは、喪失感で体調を崩した時期もあり、捜索の再開を願っていた。

 4人は午前9時ごろに、御嶽山の写真パネルが置かれた待機所に入った。磨珠さんは「県の担当者の気遣いが手厚い」と感じたという。初めて会った阿部守一知事は「県を挙げて全力で取り組む」と語り、武男さんは「よろしくお願いします」と力を込めた。

 捜索は正午ごろ中断。結果の説明は、捜索作業の画像や遺留品、地図を示しながら午後7時ごろまで続いた。磨珠さんは「明日からの捜索に期待したい」と前を向いた。

 会社経営の猪岡孝一さん(53)=東京都小平市=は、弟で会社員の哲也さん=山梨県甲斐市=の発見を願い、自衛隊ヘリで上空から現場を見た。哲也さんは夫婦で噴火に襲われた。亡くなった妻洋海さん=当時(42)=の遺体は山頂から時計回りに一ノ池の縁を歩く「お鉢めぐり」コース近くで見つかった。

 ヘリに乗り込んでドアが閉まった瞬間「早く会いたい」と、自然に涙がこぼれた。哲也さん夫婦の一人息子で高校生の翔君(17)を育てており、「哲也、早く帰って来いよ」と心の中で呼び掛けた。

 雲間を縫って、可能な限り山頂付近に近づこうとする操縦士の真剣さにも触れたという。「捜索隊員は義務と思わず、私たち家族のために捜索に取り組んでくれているんだ」。感謝の念も込み上げたという。

2015年7月30日掲載