TOP2015年08月被災の山小屋で噴石調査 内閣府、避難壕整備指針作成へ
山小屋の被災状況を調べるため御嶽山に入る内閣府調査グループの関係者ら=19日午前7時20分、王滝村田の原

 内閣府は19日、昨年9月の御嶽山噴火災害で被災した山小屋の被害状況について、現地調査を2日間の日程で始めた。壁や屋根の厚さや材質、貫通した噴石の大きさなどを調べ、調査結果を自治体向けに作成中のシェルター(避難壕(ごう))整備指針に「事例報告」として盛り込む。

 噴石で被災した山小屋の詳しい分析は全国でも異例。内閣府の担当者は同日、信濃毎日新聞の取材に、本年度中に作成するとしていた指針を、噴火から1年になる今秋にもまとめる考えを示した。

 御嶽山の噴火時には山小屋に逃げ込んで助かった人もおり、全国の火山の地元自治体や山岳関係者らにシェルター整備を検討する動きが広がっている。現在は整備指針がないことから、今後、山小屋を補強してシェルター機能を持たせる場合などの参考にしてもらうため、作成を進めている。

 今回の調査では、コンサルタント会社や防衛大学校、国立保健医療科学院、山梨県富士山科学研究所の計6人が木曽郡王滝村の田の原登山口から入山。20日までに山頂の剣ケ峰にある御嶽頂上山荘、御嶽剣ケ峰山荘を中心に、周辺の王滝頂上山荘、二ノ池本館、二の池新館、五の池小屋を調べる。19日は岐阜県側9合目の五の池小屋に泊まった。

 同日、内閣府のグループと一緒に、火山噴火予知連絡会の御嶽山総合観測班地質チームの研究者ら6人も、噴火の状況などを調べるため御嶽山に入山した。過去2回、一ノ池東側や剣ケ峰―王滝頂上間などを調査しており、今回は一ノ池西側を調べる。東京大地震研究所の中田節也教授は「火砕流の堆積物などから、噴火がどう推移したかを確かめたい」としている。

<自治体関係者、指針に注目>

 今回の調査を踏まえて内閣府が作成する指針では、強度などに関する具体的な数字は示さず、御嶽山噴火災害に遭った山小屋の屋根や壁の厚さ、噴石の大きさといった調査結果の記載にとどまる見込みだ。自治体関係者などからは、参考資料として期待する声の一方、具体的な基準を求める声も聞かれる。

 長野、岐阜両県によると、御嶽山については現在、山小屋の補強やシェルター新設を具体的に検討してはいない。岐阜県防災課は「ある程度の基準がなければ、むやみに進められない」、北アルプス・焼岳に焼岳小屋を所有する松本市も「どんな基準で小屋の強化を考えたらいいか分からない」と説明。対応の必要性を検討する上で、内閣府の指針に注目する。

 富士山では、御嶽山の噴火災害後、山小屋の補強が議論されている。山梨県富士山科学研究所の吉本充宏・主任研究員は「御嶽山の調査結果を基礎資料としたい」と話す。

 一方、浅間山に3基のシェルターと、シェルター機能のある火山館を所有する小諸市は、建物の耐性計算などは市レベルでは難しいと指摘。「最低限の基準は数字で出してもらいたい」(総務課)と求める。これに対し内閣府は、火口との距離や噴石の速度、近くにいる登山者数などの状況は火山や噴火ごとに異なるとし、「具体的にどの程度の強度が必要かは一律に決めるのではなく、火山ごとに地元で検討してほしい」とする。

 長野県危機管理防災課は、山小屋の補強などについて、国の補助制度がどう変わるかも踏まえて、各火山の地元防災協議会で対応を検討したいとしている。

2015年8月20日掲載