TOP2015年10月御嶽山の噴石は上と横から 地形考慮の防災必要

 昨年9月の御嶽山の噴火災害で最も犠牲者の多かった山頂の剣ケ峰(3067メートル)付近は、上空から落ちてくる噴石と、ライナーのように横から飛んでくる噴石と、2方向から噴石に襲われた可能性があることが、コンサルタント会社の試算で3日までに分かった。軌道が違う噴石同士は空中で衝突しやすく、砕けて噴石の数が増え、被害を拡大した可能性もあるという。

 王滝頂上(2936メートル)付近では、低い軌道を描く噴石は地獄谷の切り立った山肌にぶつかるため、上空からの噴石が多かったとみられる。国は噴火災害を受けて登山者の安全確保強化を打ち出すが、多くの火山では火口を中心とする同心円で防災対応が練られており、試算したアジア航測(東京)総合研究所の千葉達朗技師長は「地形を考慮したきめ細かい対応が必要だ」と指摘している。

 試算では、噴石は直径50センチ、1立方メートル当たり2・5トンの密度と仮定。最も活動が活発だった地獄谷の火口(2700メートル付近)から最大秒速135メートルで噴き出したとすると、剣ケ峰付近には、水平方向に対して80度ほどの角度で出た噴石が900メートル近く上がってから落下。55度ほどで出た低い軌道の噴石が、ほぼ真横から直撃する形だった。

 王滝頂上付近では、同80度弱で噴出した噴石が800メートル余り上がってから落下。山肌をぎりぎりで超える低い軌道の噴石は、上空を通過した可能性もあるという。

 火山噴火予知連絡会御嶽山総合観測班によると、剣ケ峰の建物には、噴石が横から突き刺さったような跡があった。剣ケ峰付近は、こぶし大程度以上の噴石が1平方メートル当たり10個前後あった一方、王滝頂上付近は同1個未満だった。

 独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の及川輝樹主任研究員は、軌道の異なる噴石が飛び、空中で衝突したとの見方について、「噴石は砕けて小さくなるが、数が増えて登山者に当たる確率が高まった可能性がある」とみている。

 昨年の噴火災害は犠牲者58人、行方不明者5人を出した。犠牲者の大多数は、噴石による損傷死だった。

2015年10月 4日掲載