TOP2015年10月噴火直前38万立方メートル膨張 東京ドーム3分の1杯分

 御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)が昨年9月に噴火する直前、熱水などの上昇により山体が東京ドームの容積のほぼ3分の1に当たる38万立方メートル分、膨張していたことが、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の推計で27日までに分かった。御嶽山で起きたような水蒸気噴火でこうした変化を捉えた事例は珍しく、同研究所は「水蒸気噴火の予知に向けた貴重な前兆事例」(火山研究部)としている。

 御嶽山が噴火した9月27日午前11時52分の7分前から、地盤の傾きを測るために山頂南東の7合目付近にある田の原観測点に設置してあった傾斜計が山体の膨張を記録していた。同研究所はこれを基に、膨張した位置が前回2007年の噴火時に判明した膨張源と同じと仮定した上で、体積を計算した。

 その結果、山頂の剣ケ峰南西にできた火口列の地下約1キロに、38万立方メートルの球状の膨らみが生じたと推計。マグマが直接噴き出さない水蒸気噴火のため、上昇した熱水や水蒸気の圧力による膨張とみている。水蒸気噴火に伴う明確な膨張を把握し、体積の変化量を推計した事例は少ないという。

 マグマ噴火やマグマ水蒸気噴火については、09年の浅間山の小規模噴火が20万立方メートル、11年の霧島連山・新燃(しんもえ)岳の噴火が1330万立方メートル、1986年の伊豆大島・三原山の噴火が3億立方メートルなどと推計されている。

 気象庁は昨年の御嶽山噴火で、17日前から火山性地震の急増を捉えたものの、直前まで山体膨張が観測されず、噴火警戒レベルを事前に引き上げることはできなかった。同庁は火口付近などへの傾斜計増設を進めており、同研究所火山研究部第1研究室の山本哲也室長は「観測網強化により、より早く正確な山体膨張の把握が期待できる」と話している。

2015年10月28日掲載