TOP2015年10月火山防災、地元から強化 岐阜で初のワークショップ
三つの火山ごとに防災の現状や課題について意見を出し合ったワークショップ=29日、岐阜県高山市

 活火山の御嶽山と焼岳(ともに長野・岐阜県境)、白山(岐阜・石川県境)の麓の自治体担当者らが火山防災の課題や解決策を考える初のワークショップ(参加型講習会)が29日、岐阜県高山市で開かれた。昨年9月の御嶽山の噴火災害を踏まえ、各火山の特性に合わせた対策を地元が強めていくための取り組みが本格的に始まった。

 文部科学省の地域防災対策支援研究プロジェクトの一つで、名古屋大などの専門家が助言。議論を踏まえて対策を講じ、その結果を検証、新たな対策に反映させる。

 長野、岐阜、石川の3県と9市町村の担当者ら約40人が参加。火山ごとに3班に分かれ、情報伝達、防災教育などのテーマごとに現状や課題について意見を交わした。長野県内からは木曽郡木曽町、王滝村、松本市、県危機管理防災課などの計11人が出席した。

 冒頭、全体を統括する山岡耕春・名大大学院地震火山研究センター教授があいさつし、プロジェクトについて「各地域の力の向上に少しでも役立てばいい」と話した。その後は非公開。荒牧重雄・東京大名誉教授による国内各地で起きた噴火の解説、内閣府の担当者による改正活動火山対策特別措置法(活火山法)の説明などもあった。

 11月〜来年1月には、3火山ごとに、地元自治体や国、消防、警察、観光関係者らでつくる火山防災協議会のメンバーを対象にしたワークショップを予定。来年度は住民らを交えた会合も計画中だ。

<専門家「問題意識の持続重要>

 火山防災の現状や課題について自治体担当者らが認識を共有した29日のワークショップについて、統括する山岡耕春・名古屋大大学院教授は終了後、「第1回としてはうまくいった」と評価した。今後具体的な対応につなげるために「長期的に問題意識を持続していくことが重要」と指摘。住民らも交えた会合などで、認識を深めてほしいとする。

 参加者によると、非公開のワークショップでは、火山防災は気象庁や国土交通省、県、市町村など携わる機関が多く「主体が曖昧になる」との意見が出た。登山者に火山関連情報を伝える難しさや、人事異動がある行政担当者の専門性をどう高めるかといった悩みも出たという。

 御嶽山対象の班に参加した木曽郡木曽町の宮川知之総務課主任は「腰を据えて話し合う機会はなかなかない」。同郡王滝村の栗空敏之総務課長は「行政担当者が感じている課題は共通しているとよく分かった」と話した。今後はこの日の意見などを踏まえ、火山ごとに課題を検証し、個別の事情を踏まえた対策を練っていくことになる。

 住民や登山者らの避難計画作りなど、山域全体を見渡した対応の検討で火山防災協議会の役割は高まっている。名大大学院の山岡教授は「御嶽山噴火災害の教訓をどういう形で仕組みとして残していくか、地元と一緒に考えたい」。名大側は、文部科学省のプロジェクトとして2017年度まで開くワークショップを、その後も続ける方針だ。

 各協議会のメンバーによるワークショップや住民を交えた会合をめぐり、対象やテーマなどは今後詰める。この日参加した県危機管理防災課の南沢修課長補佐は「専門家との『顔の見える関係』を太くしながら、地域ごとの対応のレベルアップにつなげていきたい」と話した。

2015年10月30日掲載