TOP2015年11月御嶽山、どう向き合う 木曽町で住民主体のシンポ
会場からも発言があったシンポジウム「御嶽山と共に生きるまちづくり」=29日、木曽町

 昨年9月の御嶽山噴火災害を受け、木曽郡木曽町の町民有志らでつくる「木曽学研究所」は29日、「御嶽山と共に生きるまちづくり」と題したシンポジウムを町内の三岳交流促進センターで開いた。東濃(とうのう)地震科学研究所(岐阜県瑞浪市)の木股文昭・副首席主任研究員の講演や観光関係者らのパネル討論があり、登山者に火山の情報を伝える必要性などを考えた。

 約50人が参加。木股さんは講演で、御嶽山を活火山と認識していなかった登山者らが少なくなかった点に触れ、「火山情報に接する機会が極めて少なかった」と指摘。「マグマか熱水が御嶽山の地下に供給され続けている」とみて、火山の情報や知識を伝えるビジターセンターを登山口に設ける必要があるとした。

 パネル討論では、御岳ロープウェイの運営会社社長や山麓の商店主、町役場職員らも参加。黒沢口登山道にある山小屋のオーナー起(おこし)信幸さんは「登山客に活火山と周知するなど、安心して登山できる環境をつくりたい」と山小屋の役割をあらためて語った。

 同研究所会長で元木曽町長の田中勝已さんは「町民にとって新たなまちづくりの出発点にしたい。(木股さんの)提案を一つ一つかみしめて、御嶽山とどう向き合っていくか考え続けたい」と締めくくった。

<火山の理解「自分たちから」>

 噴火災害をテーマに木曽町で29日に開かれたシンポジウムは、「火山について無知だった」との反省から住民有志らが企画した。この日は岐阜県下呂市でも、御嶽山の成り立ちや噴火予知の学習会に住民約60人が参加。火山とともに生きていく地域づくりに向け、関係者らは「住民の自主的な学びをさらに広げる必要がある」としている。

 「登山者を守らずして木曽は守れない」。木曽町でのシンポで東濃地震科学研究所の木股文昭さんが地元観光の落ち込みを例に強調した。この後の意見交換で、木曽町開田の男性(46)は「(活火山である御嶽山について)子どもたちに伝えるためにも、自分たちも勉強したい」と発言。この1年、東京・伊豆大島を訪ねるなどして学び、「火山のことを全然知らないと気づかされた」と話す。

 今月4日に木曽青峰高校(木曽町)で出前授業をした信州大の竹下欣宏准教授は、噴火以降、御嶽山への関心は高まっているが、「住民として御嶽山とどう関わるべきか戸惑いもある」とみる。「『生い立ち』などを知って山を捉え直し、防災や観光などの地域づくりを考えるきっかけにしてほしい」とする。

 「活火山についてのメカニズムをしっかり勉強し、町民一人一人が自分のものにしていくということを抜きにして、新しいまちづくりはない」。シンポでそうあいさつした木曽学研究所会長の田中勝已さんは「引き続き学ぶ機会を持ち、登山者の防災対策の提案などの形で具体的に行動したい」と話している。

2015年11月30日掲載