TOP2016年07月「会いに来たよ」 木曽の黒沢口登山道から初の慰霊登山
手向ける花を背負った登山ガイド(左)を先頭に登る慰霊登山の一行=1日、木曽町の黒沢口登山道8合目手前

 御嶽山の山頂部と木曽郡木曽町三岳側を結ぶ黒沢口登山道で1日、夏山シーズン開始に合わせ、同町観光協会が初めて企画した慰霊登山があった。死者58人、行方不明者5人を出した2014年9月27日の噴火から2季目。山頂の剣ケ峰への登山は規制されているが、6月28日に黒沢口登山道から二ノ池を経て岐阜県側に登山できるように規制緩和された。慰霊登山と、先だって開かれた合同開山安全祈願式の参加者たちは犠牲者を悼み、今季の安全を祈った。

 慰霊登山は同登山道8合目までを往復し、23人が参加。二ノ池の水が飲用に使えない山小屋を応援しようと、ペットボトルの水も担ぎ、御岳ロープウェイを降りてから1時間10分ほどかけて8合目へ。1人ずつ献花をした。

 噴火で犠牲になった名古屋市の会社員浅井佑介さん=当時(23)=の両親も参加。噴火後、初めて御嶽山に登ったという母正子さん(56)は「息子に『会いに来たよ』と話し掛けながら手を合わせた」。登山は結構きつかったといい、「息子もきつかったのかなと思った」。将来、入山規制が全て解除されたら、佑介さんが被災した御嶽頂上山荘に登りたいとした。

 同市の会社員山田昌志さん(52)は、噴火当日、御嶽山を登る予定だったが、友人に誘われて別の山に行った。「ひとごとだと思えない。亡くなった人の冥福と、まだ見つかっていない人が早く見つかるように祈った」と話した。

 8合目の山小屋「女人堂」をこの日開けた起(おこし)信幸さん(40)は、規制の部分緩和に「少しずつ登山者が増えてくれればうれしい」と期待を込めた。

 御岳ロープウェイ麓の鹿ノ瀬駅近くであった合同開山安全祈願式は、木曽町観光協会と王滝観光総合事務所の主催。関係者約100人が御嶽山に向かって黙とうをささげた。原久仁男木曽町長は「大勢の犠牲者を出し、5人が見つかっていないことを忘れることなく、安全対策を取っていきたい」としつつ、「少しずつ登山者に戻ってきてほしい」とあいさつした。

2016年7月 2日掲載