TOP2016年10月不明学生のスマホ見つかる 風雪にさらされ2年、家族の元へ

 2014年9月に起きた御嶽山の噴火災害で行方不明になった愛知県刈谷市の大学生野村亮太さん=入山当時(19)=のスマートフォンが9月上旬に災害現場で見つかり、家族に返されていたことが4日、分かった。火山灰が残る斜面で風雪に2年さらされていたが、電源が入り、データも保存されていた。

 父親の敏明さん(57)によると、見つかったのは亮太さんが噴火に巻き込まれたとみられる八丁ダルミにあるまごころの塔近くの斜面。入山規制が続いている火口約1キロ圏内で、許可を受けて調査していた気象庁職員が落ちているのを発見し、木曽署に届けたという。同署が亮太さんの所有物と確認。同7日に敏明さん宅に届いた。

 スマホは表裏に擦れたような跡が残り、イヤホン接続口は灰で埋まっていた。氷点下10度以下になる標高3千メートル級の斜面で見つかり、敏明さんは故障を覚悟していたが、充電して電源を入れてみたところ正常に作動した。

 1人で画面に見入った敏明さんは「奇跡的。(亮太さんが行方不明になる前の)当時に引き戻された」。亮太さんと一緒に噴火に巻き込まれ、生きて帰った叔父の正則さん(53)=愛知県刈谷市=も敏明さんに見せてもらった。

 正則さんは噴火時に2人で逃げ、先を走っていた亮太さんのポケットからスマホが落ちるのを見た。その後、噴煙に包まれ、はぐれた。「あの時、落とさなかったら、連絡が取れて助けられたかもしれない」

 噴火直後と昨夏の2回の大規模捜索で、亮太さんのザック、ストック、タオルは見つかっている。敏明さんはスマホについて、「亮太からのメッセージ。次は本人が見つかってほしい」と話す。正則さんも「本人に出てきてほしい」と願う。

 スマホが見つかった一帯では、行方不明者5人の手掛かりを見つけようと、被災者家族による「山びこの会」が今年9月に小型無人機「ドローン」で撮影した。敏明さんは今後も飛ばし、規制区域内での捜索につなげてほしいと望む。スマホに残されたデータについては、「家族のかけがえのない思い出が詰まっており、(内容は)控えさせてください」と話した。

 大規模捜索を指揮した県災害対策本部に加わった県危機管理部の南沢修・火山防災幹は「今回の事実は知らないのでコメントしかねる。できる範囲は捜索した」とする。遺留物については「不明者発見につながるような物でなければ現場に残す判断もあったと思う」と述べた。県警は「所有者が判明しそうな物は、どこで取得したか記録し、回収した」としている。

2016年10月 5日掲載