TOP2017年05月負傷者が提訴へ 県内の2人、遺族以外で初

 2014年の御嶽山噴火で被災した県内の負傷者2人が、事前に噴火警戒レベルを1(平常=当時)から2(火口周辺規制)に引き上げず、山頂付近の地震計の故障を放置し、適切な観測を怠ったとして、国と県に損害賠償を求めて、近く地裁松本支部に提訴することが28日、分かった。請求額は600万円。噴火災害を巡っては、遺族11人が国と県に損害賠償を求めて同支部で係争中で、負傷者の提訴は初めてになる。

 遺族訴訟と主張が重なるため、審理が同じ期日で進行する可能性があるとみられる。

 負傷者2人は、気象庁は噴火前に火山性地震増を観測していながら、山頂一帯の立ち入りを規制するレベル2への引き上げを怠ったと指摘する方針。引き上げ基準の一つが、火山性地震「1日50回以上」で、噴火前に2日間、基準超の回数を観測していた。

 県は気象庁と協定を結び、火山活動の一部を適切に観測する義務を負ったが、山頂付近など2地点の地震計の故障を知りながら放置し怠った―としている。

 原告になるのは、松本市の会社員鈴木康夫さん(60)ともう1人の男性。山頂近くで噴石を浴び、大けがをした鈴木さんは「事故を風化させず、天災か人災かをはっきりさせたい」としている。

 遺族訴訟の原告弁護団事務局長で、鈴木さんらの代理人でもある山下潤弁護士(上田市)は「惨劇を目の当たりにした被災者の証言は、訴訟を進める上で大きな展開になる」と話した。遺族訴訟を支援しているシャーロック英子さん(57)=東京都=は「訴訟に踏み切るか迷っている遺族にとっても力強い励みになる」としている。

 遺族訴訟で、国側はレベル引き上げについて合理的な根拠に基づいて総合的に判断したと主張。地震計の故障を放置したとされた県側は、適切に観測する気象業務法上の義務はなかった―と反論する姿勢を示している。

2017年5月29日掲載